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Act/behavior Programming Interface
MWXライブラリのAPIは、今後、改善を目的として仕様の変更を行う場合があります。
クラスオブジェクトは、MWXライブラリであらかじめ定義されたオブジェクトで、TWENETを取り扱うthe_twelite
、ペリフェラルの利用のためのオブジェクトが定義されています。
各オブジェクトは.setup()
, .begin()
メソッドの呼び出しを行って初期化する必要があります。(UART0を利用するSerial
オブジェクトのみ初期化は必要ありません)
ディジタル入力管理クラス (mwx::periph_buttons)
ディジタル入力の変化を検出します。このクラスは、同じ検出値が複数回得られたときに変化を検出します。メカ式のボタンのチャタリングの影響を小さくするのに有効です。
パラメータのmax_history
は、begin()
で設定可能な参照回数の最大値です。ここではメモリーの確保と初期化を行います。
Buttons
の動作を開始します。1番目のパラメータbmPortMask
は監視対象のディジタル入力のビットマップを指定します。bit 0がDIO 0, ... , bit N がDIO Nに対応します。複数指定することができます。2番目のu8HistoryCount
は値の確定をするのに必要な回数です。3番目のtick_delta
は値の確認を行う間隔をmsで指定します。
値の確定にはu8HistoryCount*tick_delta
[ms]かかることになります。例えばu8HistoryCount
=5, tick_delta
=4の場合は、状態の確定に最低約20msかかります。
確認はTickTimer
のイベントハンドラで行っています。割り込みハンドラではないので、処理等の遅延の影響を受けますが、メカ式ボタン等のチャタリング抑制には十分です。
Buttons
の動作を終了します。
変化が検出されたときにtrue
を返します。read()
を実行するとクリアされます。
availableになったとき呼び出します。u32port
は現在の入力DIOのビットマップ、u32changed
は変化が検出されたDIOのビットマップです。
Buttonsが動作していない場合はfalse
を返します。
Buttonsが動作を開始した時点では、DIOの入力状態は未確定です。値が確定した時点でavailableになります。このときread()
で読み出すビットマップのMSB(bit31)が1にセットされます。
動作確定を要するため、入力値が定常的に変化するポートを監視する目的では利用できません。
スリープ前にButtonsが稼働状態であれば、復帰後に再開します。再開後、初回確定を行います。
シリアルポート向き書式入力 (mwx::serial_parser)
この組み込みクラスはシリアルポートでの書式入力に利用することを想定して組み込みオブジェクトとして定義しています。
初期化時(begin()
)にヒープから内部で使用するバッファ領域を確保するmwx::serial_parser<mwx::alloc_heap<uint8_t>>
型として定義されています。
詳細はクラス を参照してください。
パルスカウンタ (mwx::periph_pulse_counter)
パルスカウンタは、マイコンのCPUが稼働していない時もパルスを読み取り計数する回路です。パルスカウンターは2系統あります。PC0はPulseCounter0
, PC1はPulseCounter1
に割り当てられます。
またPulseCounter
はPulseCounter1
の別名です。
オブジェクトを初期化し、計数を開始します。1番目のパラメータrefct
は割り込みやavailable判定の基準となるカウント数です。この数を超えたときにアプリケーションに報告されます。またrefct
には0を指定することもできます。この場合は、スリープ起床要因にはなりません。
2番目のパラメータedge
は割り込みが立ち会がり(PIN_INT_MODE::RISING
)か立下り(PIN_INT_MODE::FALLING
)を指定します。
3番目のdebounce
は、0,1,2,3の値をとります。1,2,3の設定はノイズの影響を小さくするため値の変化の検出に連続した同じ値を要する設定です。
検出を中止します。
指定カウント数(begin()
のrefct
)が0の場合は、カウントが1以上でtrue
を返します。
指定カウント数(begin()
のrefct
)が1以上の場合は、検出回数が指定カウント数を超えた場合にtrue
となります。
カウント値を読み出します。読み出し後にカウント値を0にリセットします。
ADC (mwx::periph_analogue.hpp)
Analogueは、ADCの実行と値の取得を行います。一度に複数のチャネルを連続取得でき、またこれをタイマーなどの周期に合わせて逐次実行可能です。
標準アプリ(App_Twelite)では、半導体データシート中のピン名ADC2/ADC3が、TWELITE DIPの並びにあわせてAI3/AI2 となっています。ご注意ください。
ADCの初期化を行います。setup()では、半導体内部のレギュレータの始動、周期実行するためのタイマーデバイスの指定、指定チャネルすべてのADCが終了したときに呼び出されるコールバック関数の指定します。
begin()
の呼び出し後、速やかに最初のADC処理が開始され、その終了割り込から次のピンの処理を開始します。すべての処理が終われば(指定されている場合)コールバック関数が呼び出されます。次のタイマー割り込みが発生まで待ってから新たなADC処理を開始します。
2番目のパラメータは、ACを開始するまでのタイマー割り込みの回数を指定します。例えばTickTimer
は1msごとに呼び出されますが、パラメータに16
を指定すれば 16msごとの処理になります。
デフォルトのADCピン(PIN_ANALOGUE::A1
,PIN_ANALOGUE::A2
)を指定してADC処理を開始します。end()
では中断したADC処理を再開します。
ADC処理を終了し、半導体内部のレギュレータを停止します。
ADCの値が取得後にtrue
になります。本関数により確認した後は次のADC完了まではfalse
です。
ADC値を読み出します。パラメータには読み出したいADCピンを指定します。read()
はmVに変換した読み値、read_raw()
はADCの値(0..1023)を戻します。
Vccはread()
で読み出すことを推奨します。read_raw()
の値からmVに変換するには、特別な変換式を適用する必要があるためです。
ADC完了(available)後、次のADC処理が実行するタイミング付近まで遅れて値を読み出すと、次のADC値が戻される場合があります。ADCの処理は割り込みハンドラで実施されているためloop()
の処理中であっても値が更新されるためです。
ADCの割り込みハンドラはsetup()
の呼び出し時にperiph_analogue::ADC_handler()
に設定されます。
ADCがbegin()
により周期実行状態であれば、スリープ復帰後もADC処理を再開します。
TWELITE の UART0 ポート (mwx::serial_jen)
を実装し TWELITE の UART0 で入出力する。
Serial
オブジェクトはシステム起動時に UART0, 115200 bps で初期化され、ライブラリ内で初期化処理が行われます。ユーザコード上は、setup()
から利用できます。
Serial1
オブジェクトは、ライブラリ内で用意されていますが、初期化処理は行っていません。UART1を有効化するためには、必要な初期化手続き Serial1.setup(), Serial1.begin()
を行ってください。
起動直後の setup(), wakeup()
やスリープ直前の flush
処理で、出力が不安定になる場合があります。
オブジェクトの初期化を行う。
TX/RX用のFIFOバッファのメモリ確保
TWE_tsFILE 構造体のメモリ確保
Serial
(UART0) は ライブラリ内で setup()
の呼び出しが自動で行われます。ユーザによる呼び出しを行う必要はありません。
また、Serial
(UART0) のバッファサイズは、コンパイル時に決定されます。マクロ MWX_SER_TX_BUFF
(未指定時は 768), MWX_SER_RX_BUFF
(未指定時 256) により変更できます。
ハードウェアの初期化を行う。
Serial
(UART0) は ライブラリ内で begin()
の呼び出しが自動で行われます。ユーザによる呼び出しを行う必要はありません。
指定したボーレートの下2桁の数値は0に丸めて処理します。またハードウェアの制限により指定したボーレートより誤差が生じます。
(未実装)ハードウェアの使用を停止する。
Cライブラリで利用する TWE_tsFILE*
形式での構造体を得る。
Serial (UART) では、_sSerial
構造体が定義されています。
TWENET 利用の中核クラス (mwx::twenet)
the_twelite
オブジェクトは、TWENETの利用手続きをまとめたもので、無線の基本設定やスリープ等の手続きなど無線マイコンを操作するための手続きが含まれます。
the_twelite
はsetup()
関数内で設定と開始the_twelite.begin()
を行います。setup()
以外では設定は行えません。
上記の例では、アプリケーションIDの設定、通信チャネルの設定、受信回路の設定を行っています。
様々な手続きが含まれます。
上記の例では環境センサーパル<PAL_AMB>
と、シンプル中継ネットワーク<NWK_SIMPLE>
の2種類を登録しています。これらを登録することにより環境センサーパル上のセンサーなどハードウェアを簡易に取り扱うことが出来ます。また煩雑な無線パケットの取り扱いについて中継の処理や重複で届いたパケットの自動破棄などの機能を暗黙に持たせることが出来ます。
MWXライブラリには、ここで紹介したメソッド以外にも定義されています。
アクト記述には直接関係ないもの、設定しても有効に機能しないもの、内部的に使用されているものが含まれます。
<<
演算子 (設定)オブジェクトthe_twelite
の初期設定を行うために<<
演算子を用います。
以下に挙げる設定用のクラスオブジェクトを入力とし、設定をしなければデフォルト値が適用されます。
パラメータid
に指定したアプリケーションIDを設定します。これは必須指定です。
設定の読み出しは uint32_t the_twelite.get_appid()
で行います。
パラメータch
に指定したチャネル番号(11
..26
)を設定します。
設定の読み出しはuint8_t the_twelite.get_channel()
で行います。
パラメータpw
に指定した出力設定を(0
..3
)を設定します。デフォルトは(3:出力減衰無し)です。
設定値の読み出しはuint8_t the_twelite.get_tx_power()
で行います。
パラメータbEnable
が1
であれば常に受信回路を動作させ、他からの無線パケットを受信できるようになります。デフォルトは0
で、もっぱら送信専用となります。
設定値の読み出しはuint8_t the_twelite.get_rx_when_idle()
で行います。
MWXライブラリコード中には他にも設定項目がありますが、現時点ではライブラリの機能に無関係な設定であったり、設定を行うと矛盾を起こす可能性があるものです。
事前に設定(<<
演算子参照)や、ビヘイビアの登録を済ませた後に実行します。通常はsetup()
関数内の一番最後に記述します。
the_twelite
設定完了
ビヘイビアの初期化
TWENETの初期化は setup()
関数が終了した後にも実行されます。多くの処理はTWENETが終了した後に実行するようになっているため、ここでは初期化以外の処理を行わないようにしてください。
チャネル設定を変更します。失敗時にはチャネルは変更されずfalse
を戻します。
現在設定中のチャネル番号(11..26)を取得する。MAC層のAPIより取得します。
モジュールのシリアル番号を取得します。
モジュールをスリープさせる。
スリープ前に組み込みオブジェクトやビヘイビアの on_sleep()
メソッドが呼び出され、スリープ前の手続きを行います。スリープ復帰後は反対に on_wakeup()
メソッドにより復帰処理が行われます。
スリープからの復帰要因が指定したディジタルピンである場合にtrue
を返します。
スリープからの復帰要因がウェイクアップタイマーである場合にtrue
を返します。
twe_twelite
には3つのビヘイビアを登録でき、これらを格納する以下のクラスオブジェクトを定義されています。
board
: ボード対応のビヘイビアです。ボード上の各デバイス利用手続きが付加されます。
app
: ユーザアプリケーションを記述したビヘイビアです。割り込みやイベント記述、ステートマシンによる状態遷移によるふるまいの記述が可能です。また複数のアプリケーション記述を定義しておいて、起動時に全く振る舞いの違うアプリケーションを選択する記述が容易に行えます。
登録後は登録時と同じ書式でオブジェクトの取得を行います。
誤ったビヘイビアを指定した場合は、パニック動作(無限ループ)となりプログラムの動作が停止します。
グローバル変数としてビヘイビアのオブジェクトを宣言することを想定していません。利用都度use<B>()
を用いてください。
ただし、グローバル変数にオブジェクトのポインタを定義して以下のように記述することは可能です。(MWXライブラリでは原則としてポインタ型の利用を最小限にとどめ参照型を利用する方針ですので、下記のような記述は推奨しません)
the_twelite
には上述のboard
, network
, app
の3つのクラスオブジェクトが定義されていますが他に以下が定義されています。
送信完了状態を通知する。
指定したIDのパケットが送信完了したときにtrue
を返す。
指定したIDのパケットが送信完了し、かつ送信成功したときにtrue
を返す。
受信パケットを取得する。
read()
メソッドで得られる受信パケットデータは、続くパケットが受信処理時に上書きされる設計となっています。available
直後に読み出してなにか短い処理をする場合は問題になることはありませんが、原則として読み出し→アプリケーションが使うため必要なデータのコピー→loop()
の終了を速やかに行います。例えばloop()
中で長いdelay()
を行うと受信パケットの取りこぼしなどが発生します。
まだ読み出していない受信パケットが存在する場合にtrue
を返す。
パケットを読み出します。
1番目のパラメータにはADCを行いたいポートを指定します。ポートの指定はピンの定義で述べたポート番号に対応するビットをセットしたビットマップになります。例えば PIN_ANALOGUE::A2
とPIN_ANALOGUE::VCC
の2つのピンの値を得たい場合は (1 <<PIN_ANALOGUE::A1 | 1<<PIN_ANALOGUE::VCC )
を指定します。を用いpack_bits(PIN_ANALOGUE::A1,PIN_ANALOGUE::VCC)
のように記述することもできます。
beginTransaction(), endTransaction(), transfer(), transfer16(), transfer32()
transceiver
また無線ネットワークを取り扱うクラスやボード対応をまとめたクラス、ユーザ記述のイベントドリブン処理を行うクラスを登録できるようになっています。このクラスを登録することにより、専用化した機能を手軽に利用できるようになります。これらのクラスを本解説中では「」と呼称します。
network
: ネットワークを実装するビヘイビアです。通常はを登録します。
ビヘイビア<B>を登録します。登録は内で行います。戻り値は登録したビヘイビアに対応するオブジェクトの参照です。
イベントドリブンのビヘイビアの記述ではで管理します。
イベントドリブンのビヘイビアの記述ではで取得します。
パラメータ | 解説 |
|
|
| 周期実行に指定するタイマーデバイスを指定する。指定可能なデバイスは、以下の5種類で、初回以外は割り込みハンドラ内でADが開始される。
|
| 指定されたポートすべてのADCが終了後に、割り込みハンドラ内から呼び出されるコールバック関数。ADC計測値をFIFOキューなどに別途格納したい場合に利用する。 |
パラメータ | 解説 |
| UART のボーレートを指定する。 |
| 未使用 (8N1固定) |
パラメータ | 解説 |
| 使用するSPIスレーブのセレクトピンを指定する。
|
| SPIのバス設定を指定します。
|
パラメータ | 解説 |
| スリープ時間[ms] |
| 前回の起床時間をもとに次の起床時間を再計算する。 ※次の起床タイミングが迫っているなどの理由で、現在のタイミングからになる場合もあります。 |
|
|
| スリープに用いるウェイクアップタイマーの指定。
|
設定 | 連続サンプル数 | 最大検出周波数 |
| - | 100Khz |
| 2 | 3.7Khz |
| 4 | 2.2Khz |
| 8 | 1.2Khz |
定数 | 種別 | 標準アプリでのピン名 |
| ADC1ピン | AI1 |
| ADC2ピン | AI3 |
| ADC3ピン (DIO0) | AI2 |
| ADC4ピン (DIO1) | AI4 |
| Vcc 電源電圧 |
パラメータ | 解説 |
| TX用のFIFOバッファサイズ |
| RX用のFIFOバッファサイズ |
定数 | 意味 |
| MSB を先頭ビットにする |
| LSB を先頭ビットにする |
| SPI MODE 0 に設定する |
| SPI MODE 1 に設定する |
| SPI MODE 2 に設定する |
| SPI MODE 3 に設定する |
システムタイマー (mwx::periph_ticktimer)
TickTimerはTWENETの内部制御用に利用され、暗黙に実行されています。タイマーの周期は1msです。loop()
中でTickTimerイベントにより1msごとの処理を記述する目的でavailable()
メソッドのみを定義しています。
必ず1ms刻みでavailableになる訳ではない点に注意してください。
ユーザプログラムの記述内容や、システム内部の割り込み処理などが要因で、大きな遅延が発生することもあり、イベントが飛ばされるような場合もあります。
available()
TickTimer割り込み発生後にセットされ、その直後のloop()
でtrue
になります。loop()
終了後にクリアされます。
ヘルパークラス版はより抽象度が高い実装です。読み書きを行うオブジェクト transceiver
を生成することが、バスの利用開始となり、オブジェクトを破棄するとバス利用の終了手続きを行います。
if文の判定式内でオブジェクトの生成を行うことで、オブジェクトの有効期間はif節内のスコープに限定され、if節を抜けた時点でオブジェクトは破棄され、その時点でバスの利用終了の手続きを行います。
また、読み書きオブジェクトは、mwx::stream
インタフェースを実装しているため<<
演算子などを利用することができます。
バスの利用開始と終了をオブジェクトの有効期間と一致させることで、ソースコードの見通しを良くし、また終了手続きの記述漏れなどを防ぎます
mwx::stream
インタフェースによる読み書き手続きを統一します
読み込み処理とその終了手続きをスコープ内 if() { ... }
で行うためのヘルパークラスを用いた読み込み方法。
上記では get_rwer()
メソッドにより生成された x
オブジェクトを用いて1バイトずつ読み書きを行っています。
if(...)
内で x
オブジェクトを生成します。同時にSPIバスのセレクトピンをセットします。(型は、型推論によるユニバーサル参照 auto&&
で解決しています。)
生成した x
オブジェクトには operator bool ()
が定義されており、判定式の評価として利用される。SPIバスの場合は常に true
となる。
x
オブジェクトには uint8_t transfer(uint8_t)
メソッドが定義されていて、これを呼び出すことでSPIに対して8bitの読み書き転送を行。
if() { ... }
スコープの末尾で x
のデストラクタが呼び出され、SPIバスのセレクトピンを解除します。
SPIバスの読み書きに用いるワーカーオブジェクトを取得します。
それぞれ8bit,16bit,32bitの転送を行い、読み取り結果を書き込んだデータ幅と同じデータ幅で返す。
int
型,uint8_t
型は8bitの転送を行います。
uint16_t
型、uint32_t
型は、それぞれ16bitの転送、32bitの転送を行います。
転送結果は最大16バイトの内部FIFOキューに格納され >>
演算子により読み出します。バッファが大きくないので、転送都度読み出すことを想定します。
直前の転送と同じデータ幅の変数を指定します。
読み出した結果が不要の場合はnull_stream()オブジェクトを使用します。iで指定したデータバイト分だけ読み飛ばします。
begin()
メソッドによりハードウェアの初期化を行った後、beginTransaction()
によりバスの読み書きができるようになります。beginTransaction()
を実行するとSPIのセレクトピンが選択されます。読み書きはtransfer()
関数を用います。SPIは読み出しと書き込みを同時に実行します。
バスの利用開始を行います。SPIのセレクトピンをセットします。
settings
パラメータを与えて呼び出した場合は、バスの設定を行います。
バスの利用を終了します。SPIのセレクトピンを解除します。
バスの読み書きを行います。trasnfer()
は8bit、transfer16()
は16bit、transfer32()
は32bitの転送を行います。
タイマー, PWM (mwx::periph_timer)
タイマーでは、指定周期でのソフトウェア割り込みを発生させる目的、指定周期でPWM出力を行う2つの機能があります。TWELITE無線モジュールには0..4まで合計5つのタイマーが利用可能です。
組み込みオブジェクト名は Timer0..4
ですが、このページでは TimerX
と記載します。
タイマーを初期化します。この呼び出しにより必要なメモリ領域の確保を行います。
タイマーを開始します。1番目のパラメータは、タイマーの周期でHzで指定します。2番目のパラメータをtrue
にするとソフトウェア割り込みが有効になります。3番目のパラメータをtrue
にするとPWM出力を有効にします。
change_hz()
で周波数を変更することが出来ます。change_hz()
ではbegin()
の指定より細かい指定が可能です。
change_duty()
でPWM出力のデューティー比を変更できます。
割り込みハンドラの処理を記述するには、アプリケーションビヘイビアの定義が必要です。
タイマーの動作を停止します。
タイマー割り込みが発生した直後のloop()
でtrue
になり、loop()
が終了すればfalse
になります。
デューティー比の設定を行う。1番目のパラメータにデューティ比を指定します(小さい値を指定すると波形の平均はGNDレベルに近づき、大きい値を指定するとVccレベルに近づく)。2番目のパラメータはデューティ比の最大値を指定します。
duty_max
は1024,4096,16384
のいずれかの指定を推奨します。
内部でのカウント値の計算に除算が発生しますが、これら3つに限りビットシフトによる演算を行っていますが、これ以外の値では計算量の大きい除算処理が実行されます。
タイマーの周波数を設定します。2番目のパラメータは周波数の小数点3桁分の値を整数で指定します。例えば 10.4 Hz としたい場合は hz=10, mil=400
と指定します。
二線シリアル(I2C) master の読み書き (mwx::periph_wire)
二線シリアル(I2C) master の読み書きを行います。
以下の定義型で引数や戻り値の型を記載します。
API 中に STOP ビットの扱いが厳格でない呼び出しを行うものもあります。
write(), writer::operator() ()
には、本解説以外にもいくつか引数が定義されている。
固定配列型
uint8_t cmds[]={11,12};
...
Wire.write(cmds);
initializer_list<>
型
Wire.write({11,12})
ライブラリ内でインスタンスの生成と必要な初期化は行われます。ユーザコードでは Wire.begin()
を呼び出すことで利用可能となります。
requestFrom()
メソッドを用いる場合、データを一時保管するための FIFO キューのサイズを指定できます。コンパイル時にマクロMWX_TWOWIRE_BUFF
に必要なバイト数を指定してコンパイルする。デフォルトは 32 バイトです。
例:
-DMWX_TWOWIRE_BUFF=128
ハードウェアの初期化を行います。
初期化せずにWireの操作を行うとTWELITE無線モジュールがハングアップします。
スリープからの起床時は、スリープ直前で動作していた場合、直前の状態に復帰します。
読み書きの手続きは、以下の2種類あります。いずれかを選択して利用します。
メンバ関数版 (以下のメンバ関数を用いた入出力)
requestFrom(), beginTransmission(), endTransmission(), write()
ヘルパークラス版(stream機能が使用可能)
reader, writer
address
で指定したデバイスが応答するかを確認します。デバイスが存在する場合は true
が戻ります。
メンバ関数を利用した方法は、抽象度が比較的低く、C言語ライブラリで提供されるような一般的なAPI体系に倣っています。二線シリアルバスの操作手続きがより直感的です。
ただしバスの利用の開始と終了を明示的に意識して記述する必要があります。
指定バイト数分を一括で読み出します。読みだした結果はキューに保存されるため、直後にキューが空になるまで .read()
メソッドを呼び出すようにしてください。
書き出し処理は、beginTransmission()
を実行後、write()
メソッドにより行います。一連の書き出しが終了したら endTranmission()
を呼びます。
書き出しの転送を初期化する。書き出し処理終了後、速やかに endTransmission()
を呼び出す。
1バイトの書き出しを行う。
バイト列の書き出しを行います。
書き出しの終了処理を行います。
ヘルパークラス版はより抽象度が高い実装です。読み書きに対応するオブジェクト reader, writer
を生成することがバスの利用開始となり、オブジェクトを破棄するとバス利用の終了手続きを行います。
if文の判定式内でオブジェクトの生成を行うことで、オブジェクトの有効期間はif節内のスコープに限定され、if節を抜けた時点でオブジェクトは破棄され、その時点でバスの利用終了の手続きを行います。
また読み書きオブジェクトはmwx::stream
インタフェースを実装しているため<<
演算子などを利用することができます。
バスの利用開始と終了をオブジェクトの有効期間と一致させることで、ソースコードの見通しを良くし、また終了手続きの記述漏れなどを防ぐ
mwx::stream
インタフェースによる読み書き手続きの統一
読み込み処理とその終了手続きをスコープ内 if() { ... }
で行うためのヘルパークラスを用いた読み込み方法です。
上記では get_readr()
メソッドにより生成された rdr
オブジェクトを用いて1バイトずつ読み出しします。 メソッドのパラメータには読み込みたい二線シリアル ID を指定します。
if(...)
内で rdr
オブジェクトを生成。(型は、型推論によるユニバーサル参照 auto&&
で解決しています。)
生成した rdr
オブジェクトには operator bool ()
が定義されており、判定式の評価として利用される。指定された ID により通信が可能であれば true
となる。
rdr
オブジェクトには int operator () (void)
演算子が定義されていて、これを呼び出すことで2線シリアルバスから1バイトのデータを読み出す。読み込みに失敗したときは -1
が戻り、成功した場合は読み込んだバイト値が戻る。
if() { ... }
スコープの末尾で rdr
のデストラクタが呼び出され、二線シリアルバスの STOP
を行う。
I2C 読み出しに用いるワーカーオブジェクトを取得します。
書き出し処理とその終了手続きをスコープ内 if() { ... }
で行うためのヘルパークラスを用いた読み込み方法です。
上記では get_writer()
メソッドにより生成された wrt
オブジェクトを用いて1バイトずつ書き出す。 メソッドのパラメータには読み出したい二線シリアル ID を指定します。
if(...)
内で wrt
オブジェクトを生成する。(型名は長くなるため auto で解決)
生成した wrt
オブジェクトには operator bool ()
が定義されており、判定式の評価として利用される。指定された ID により通信が可能であれば true
となる。
wrt
オブジェクトには int operator () (void)
演算子が定義されていて、これを呼び出すことで2線シリアルバスに1バイトのデータを書き出しす。失敗したときは -1
が戻り、成功した場合は書き込んだバイト値が戻る。
if() { ... }
スコープの末尾で wrt
のデストラクタが呼び出され、二線シリアルバスの STOP
を行う。
I2C書き出しに用いるワーカーオブジェクトを取得します。
int
型,uint8_t
型は8bitの転送を行います。
1バイト書き出す。
それぞれのデータ型のサイズ分だけ読み出します。
1バイト読み出します。エラーがある場合は-1を戻し、正常時は読み出したバイト値を戻します。
b_stop
をtrue
にすると、その読み出しにおいてSTOPビットを発行します。
以下の例は、環境センサーパルの温湿度センサーSHTC3の計測例です。
コンテナクラス(smplbuf
, smplque
)のテンプレート引数として指定し、内部で利用するメモリの確保または領域指定します。
このクラスはユーザコードから直接呼び出すものではありませんが、内部的にコンテナの宣言に用いられています。
alloc_attach
やalloc_heap
ではメモリ確保クラスに応じた初期化メソッド (begin()
)を実行する必要があります。
バッファーp
・サイズn
で初期化します。
バッファのサイズを返す。
想定したallocクラスと違うメソッド呼び出し記述に対して、static_assertのように、コンパイルエラーを発生させるためのメソッドです。
このクラスはTWENETのtsRxDataApp
構造体のラッパークラスです。
このクラスオブジェクトは、のまたはthe_twelite.receiver.read()
により取得できます。
packet_rx
では、特にパケットのデータペイロードをsmplbuf
コンテナで取り扱えるようにし、expand_bytes()
などのユーティリティ関数によりペイロードの解釈記述を簡素化しています。
現時点では、シンプル中継ネットワーク<NWK_SIMPLE>
で必要とされるものを中心にメソッド等のインタフェースを実装しています。
パケットのデータペイロードを取得する。
<NWK_SIMPLE>
を用いた場合は、先頭に<NWK_SIMPLE>
用のヘッダデータがあります。戻りとして参照されるコンテナは、このヘッダ部分を除いた部分配列になります。ヘッダ部分まで参照したいときはget_psRxDataApp()
によりtsRxDataApp
構造体を参照してください。
TWENET Cライブラリの受信構造体を得る。
ペイロードのデータ長を返す。.get_payload().size()
と同じ値になる。
LQI値 (Link Quality Indicator)を得る。
LQIとは電波通信品質を示す値です。0から255までの数値で表されます。
ちなみに、いくつかの段階で評価する場合は、50未満(悪い -80dbm 未満)、50~100(やや悪い)、100~150(良好)、150以上(アンテナの近傍)といった区分けも可能です。これらは目安である点にご留意ください。
送信元のアドレスを得る。
get_addr_src_long()
は送信元のシリアル番号で、MSB(bit31)が必ず1になります。
get_addr_src_lid()
は送信元の論理IDで0x00
-0xFE
までの値をとります(<NWK_SIMPLE>
で指定する論理IDです)。
宛先アドレスを得ます。
宛先アドレスは、送信元で指定され、宛先の種別によって値の範囲が変わります。
このクラスはTWENET CライブラリのtsTxDataApp
構造体のラッパクラスで、このクラスをベースとした派生クラスのオブジェクトをネットワークビヘイビアより取得して利用します。
ネットワークビヘイビアの .prepare_tx_packet()
によって行います。
上記の例ではthe_twelite.network.use<NWK_SIMPLE>()
によってネットワークビヘイビアのオブジェクトを取り出します。このオブジェクトの.prepare_tx_packet()
によってオブジェクトpkt
が生成されます。型名はauto&&で推論されていますがpacket_tx
の派生クラスになります。
このpkt
オブジェクトは、まず、()
内の条件判定にてtrue
かfalse
を返します。false
が返ってくるのは、送信用のキューが一杯でこれ以上要求が追加できない時です。
無線パケットには宛先情報など相手に届けるための様々な設定を行います。設定には設定内容を含むオブジェクトを<<演算子の右辺値に与えます。
以下に設定に用いるオブジェクトについて記載します。
各設定の利用可否や意味合いは、ネットワーク ビヘイビアの仕様によります。
宛先アドレスaddr
を指定します。宛先アドレスの値については、ネットワークビヘイビアの仕様を参照してください。
MSB(bit31=0x80000000
)がセットされるアドレスは、無線モジュールのシリアル番号宛という意味になります。
0x00
..0xEF
は、8bitの論理IDを意味します。0xFEは子機宛(0x01
..0xEF
)の同報通信(ブロードキャスト)、0xFF
は親機子機関係なく同報通信(ブロードキャスト)します。
再送回数の指定を行います。再送回数はu8countで指定します。force_retryは、送信が成功しようがしまいが、指定回数の再送を行う設定です。
ネットワークビヘイビア<NWK_SIMPLE>
では、同じ内容のパケットをu8count+1
回送信します。
force_retry
の設定は無視されます。
パケットを送信するまでの遅延と再送間隔を設定します。u16DelayMin
とu16DelayMax
の2つの値をミリ秒[ms]で指定します。送信要求をしてからこの間のどこかのタイミングで送信を開始します。再送間隔をu16RetryDur
の値[ms]で指定します。再送間隔は一定です。
内部処理の都合で指定通りのタイミングで送信処理が始まらない場合もあります。また、IEEE802.15.4の処理でもパケット創出までの時間ブレが発生します。これらのタイミングのブレは、多くのシステムではパケットの衝突回避を行う上で有効な手立てとなります。
厳格なタイミングでのパケット送信は、IEEE802.15.4の規格の性質上、例外的な使用方法とお考え下さい。
この指定は有効です。
最初の送信から1秒を超えて再送され到達した同一パケットについては、新たなパケットが到達したとして重複除外が為されません。再送間隔を長く設定したり、中継でのパケット到達遅延により1秒を超えて同じパケットを受信する場合があります。
重複パケットの処理の設定は<NWK_SIMPLE>
ビヘイビアの初期化で設定できます。
パケット送信を「できるだけ速やかに」実行するように要求する設定です。TWENETでのパケット送信処理は、1msごとに動作するTickTimer起点で行われています。この設定をすることで、要求後速やかにパケット送信要求が処理されます。もちろん、tx_packet_delay(0,0,0)
以外の設定では意味がない指定になります。
他のパケット送信処理が行われている場合は、通常の処理になります。
この指定は有効です。
無線パケット通信では、送信完了後、送信相手先からACK(アック)という短い無線電文を得て、送信成功とする送信方法があります。このオプションを設定することで、ACK付き送信を行います。
<NWK_SIMPLE>
では、この指定は無効です。コンパイルエラーになります。
<NWK_SIMPLE>
は、シンプルに動作する中継ネットワークの実装を目的としており、ACK付きの通信は行いません。
ブロードキャストの指定を行います。
<NWK_SIMPLE>
では、この指定は無効です。コンパイルエラーになります。
替わりに宛先アドレスtx_addr(0xFF)
(ブロードキャスト)またはtx_addr(0xFE)
(子機宛のブロードキャスト)を指定します。
0..7の指定ができるTWENET無線パケットのタイプIDを指定します。
<NWK_SIMPLE>
では、この指定は無効です。コンパイルエラーになります。
<NWK_SIMPLE>
ではタイプIDを内部的に使用しています。ユーザは使用できません。
axis_xyzt
を格納したコンテナクラスのXYZ軸のいずれかの軸を取り出した仮想的なコンテナクラスを生成する関数です。この生成したクラスにはbegin()
とend()
メソッドのみ実装されています。このbegin()
とend()
メソッドで取得できるイテレータは前節のイテレータと同じものになります。
パラメータ
解説
u8mode
バススピードを指定する。
WIRE_100KHZ または WIRE_400KHZ を指定する。
b_portalt
ハードウェアのピン割り当てを変更する。
パラメータ
解説
u8address
読み出し対象のI2Cアドレス
length
読み出しバイト数
b_send_stop=true
true
の時、読み込み終了時にSTOP
ビットを設定する。
戻り値型 size_type
読み出したバイト数。 0
は読み出しの失敗。
パラメータ
解説
u8address
書き出し対象のI2Cアドレス
パラメータ
解説
value
書き込むバイト
戻り値 size_type
書き込んだバイト数。0
はエラー。
パラメータ
解説
*value
書き込むバイト列
size_type
バイト数
戻り値 size_type
書き込んだバイト数。0はエラー。
パラメータ
解説
sendStop = true
STOPビットを発行します。
戻り値 uint8_t
0: 成功 4: 失敗
パラメータ | 解説 |
| 読み込み用のI2Cアドレス |
| 読み出しバイト数(この値を指定すると最後の転送で STOP ビットを発行する)。0を指定した場合は STOP ビットなしとなる(デバイスによっては動作するものもあります) |
パラメータ | 解説 |
| 書き出し用のI2Cアドレス |
値 | 解説 |
MSB(bit31)がセットされている | 宛先としてシリアル番号を指定しています。 |
| 宛先として論理ID(8bit)が指定されています。 |
内容 |
| すでにあるバッファを指定する |
| Nバイトのバッファを内部に静的確保する |
| 指定したサイズをヒープに確保する |
内部が配列構造のコンテナクラスです。初期化時にバッファの最大サイズを決定しますが、その最大サイズまでの範囲で可変長の配列として振る舞います。
smplbuf
は要素の型T
とメモリの確保方法alloc
で指定したメモリ領域に対して配列の操作を提供するコンテナクラスです。alloc
の指定は煩雑であるためusing
を用いた別名定義が行っています。
オブジェクトの宣言例です。宣言の直後に初期化用のメソッド呼び出しを行います。いずれも初期化直後の最大サイズは128バイトで、サイズは0です。必要に応じてサイズを拡張しながら使用します。
上記のuint8_t
型に限り別名定義があります。
通常の配列のように[]演算子などを用いて要素にアクセスできますし、イテレータを用いたアクセスも可能です。
push_back()
メソッドを定義しています。末尾にデータを追記するタイプのアルゴリズムが使用可能になります。
型T
でサイズN
のコンテナを宣言します。宣言後に初期化のメソッドを呼び出します。
smplbuf_attach
では、使用するバッファの先頭ポインタT* buf
と配列の初期サイズsize
と最大サイズN
を指定します。
smplbuf_local
のみ、ローカルオブジェクトとして宣言する場合は、初期化メソッド.init_local()
を省略できます。
alloc_local
でグローバルオブジェクトを生成する場合は、smplbuf
コンテナの使用前に.init_local()
メソッドを呼び出します。
初期化子リスト(イニシャライザリスト){ ... }
によるメンバーの初期化をできます。smplbuf_local
のローカル宣言でのコンストラクタでの利用を除き、初期化のメソッドを呼び出した後に有効です。
代入演算子の右辺値 (smplbuf_local
, smplbuf_attach
, smplbuf_heap
)
コンストラクタ(smplbuf_local
のローカル宣言、グローバル宣言は不可)
末尾にメンバーc
を追加します。append()
の戻り値はbool
で、バッファが一杯で追加できないときにfalse
が返ります。
pop_back()
は末尾のエントリを抹消します。
empty()
は配列に要素が格納されていない場合にtrue
を戻します。is_end()
は反対に配列サイズ一杯まで要素が格納されているときにtrue
を戻します。
size()
は配列の要素数を返します。
capacity()
は配列の最大格納数を返します。
reserve()
は配列のサイズを拡張します。配列が格納されていない領域はデフォルトで初期化されます。
reserve_hear()
は配列の先頭部に指定したサイズの領域を確保します。コンテナオブジェクトからは参照できない領域となります。例えばパケットペイロードのヘッダ部分を読み飛ばした部分配列にアクセスするようなコンテナとして利用できるようにします。確保した領域を戻しすべてアクセスできるようにコンテナを戻すには確保時と同じ負の値を与えます。
redim()
は利用領域のサイズを変更します。reserve()
と違い、未使用領域の初期化を行いません。
要素にアクセスします。
i
に負の値を与えるとバッファー末尾からの要素となります。-1
の場合は末尾の要素、-2
は末尾から一つ手前となります。
FIFOキューを構造のコンテナクラスです。
smplque
は要素の型T
とメモリの確保方法alloc
で指定したメモリ領域に対してFIFOキューの操作を提供するコンテナクラスです。alloc
の指定は煩雑であるためusing
を用いた別名定義が行っています。
要素型は原則として数値や数値などを格納する構造体を想定しています。デストラクタによる破棄手続きが必要なオブジェクトを格納することを想定していません(キューから要素を抹消する際にオブジェクトを抹消する処理をしていないため)。
宣言時に割り込み禁止設定を行うクラスIntr
を登録することが出来ます。このクラスは指定しない場合は、割り込み禁止制御を行わない通常の動作となります。
オブジェクトの宣言例です。宣言の直後に初期化用のメソッド呼び出しを行います。いずれも初期化直後の最大サイズは128バイトで、サイズは0です。必要に応じてサイズを拡張しながら使用します。
FIFOキューですのでpush()
,pop()
,front()
といったメソッドを用いて操作します。
イテレータによるアクセスも可能です。
型T
でサイズN
のコンテナを宣言します。宣言後に初期化のメソッドを呼び出します。
smplque_local
のみ、ローカルオブジェクトとして宣言する場合は、初期化メソッド.init_local()
を省略できます。
smplque_local
のグローバルオブジェクトを生成する場合は、smplbuf
コンテナの使用前に.init_local()
メソッドを呼び出します。
push()
はエントリをキューに追加します。
pop()
はエントリをキューから抹消します。
front()
は先頭のエントリ(一番最初に追加されたもの)を参照します。
back()
は末尾のエントリ(一番最後に追加されたもの)を参照します。
pop_front()
は先頭のエントリを戻り値として参照し、同時にそのエントリをキューから抹消します。
empty()
は配列に要素が格納されていない場合にtrue
を戻します。is_full()
は反対に配列サイズ一杯まで要素が格納されているときにtrue
を戻します。
size()
はキューに格納されている要素数を返します。
capacity()
はキューの最大格納数を返します。
キューのすべての要素を抹消します。
要素にアクセスします。0
が最初に追加した要素です。
begin()
とend()
によるイテレータを取得できます。イテレータの先頭はキューの最初に登録した要素です。イテレータを用いることで範囲for文やアルゴリズムが利用できます。
応用としてaxis_xyzt構造体の特定のメンバーに注目したイテレータによるアクセスがあります。
loop()
関数の初回コールの手前で一度だけ呼び出されます。TWENET の初期化は終了しているのでsetup()
のような制約を考慮する必要はありません。
主な使い方は、
始動メッセージの表示
始動直後のスリープ遷移
setup()で始動することに不都合がある処理
このコールバック関数定義は省略可能です。
アプリケーションのメインループです。ループ終了後はCPUがDOZEモードに遷移し低消費電流で次の割り込みを待ちます。
アクトの記述では、ほとんどの処理がこのループ内に記述されます。
バック関数定義は省略可能です。
mwx::stream に printf の書式を入力
mwx::stream
の << 演算子に対してフォーマット書式を書き出すヘルパークラスです。ライブラリ内では Using format=mwx::mwx_format;
として別名定義しています。
可変数引数リストに登録できる引数は最大4つです。
コンストラクタで受け取った引数リストを、パラメータパックの展開機能を用いてクラス内部変数に格納する
operator <<
が呼び出された時点で、fctprintf()
を呼び出し、ストリームにデータを書き出す
コンストラクタでは、書式のポインタとパラメータを保存します。続く <<
演算子による呼び出しでフォーマットを解釈して出力処理を行います。
fmt
は本オブジェクトが破棄されるまで、アクセス可能であることが必要です。
シリアル書式入出力 (mwx::serial_parser)
シリアル書式の入出力のために用います。内部に解釈済みのバイナリ系列を保持するバッファを持ち、入力時は1バイトずつ系列を読み出し書式に従い内部バッファに格納し、系列の解釈が完了した時点で完了状態になるものです。反対に出力時は内部バッファから所定の出力書式に従いバッファを出力します。
メモリバッファ取り扱い方法(alloc
)に応じて3種類のクラス名が定義されています。
begin()
の初期化のパラメータで渡す書式の種別です。ここではアスキー形式とバイナリー形式の2種類があります。
バイナリ形式の取り扱いはアスキー形式に比べ、必要なツールや確認方法を含め一般に取り扱いが煩雑になります。通常はアスキー形式をお使いください。
アスキー形式は、バイナリで構成されたデータ列を文字列で表現する方法です。
例えばバイト列で 00A01301FF123456
をアスキー形式で表現すると、以下のようになります。先頭は :
で B1
がチェックサム、終端は [CR:0x0d][LF:0x0a]
となります。
:00A01301FF123456B1[CR][LF]
終端のチェックサムを省略できます。チェックサムからCRLFの系列をX
に置き換えます。文字化けによる誤ったデータ系列には弱くなりますが、実験などでデータを送付したいときに便利です。
:00A01301FF123456X
通常はアスキー形式を利用してください。
マイコン間通信での実装を考えるとバイナリ形式のほうが効率的ですが、実験などでの送受信の確認にはバイナリ通信に対応した特別なターミナルなどを準備する必要があり、チェックサムの計算も必須です。アスキー形式より利用の難易度は高くなります。
バイナリ形式は、バイナリで構成されたデータ列にヘッダとチェックサムを付加して送付する方法です。
例えば 00A01301FF123456
をバイナリ形式で表現すると、以下のようになります。
0xA5 0x5A 0x80 0x08 0x00 0xA0 0x13 0x01 0xFF 0x12 0x34 0x56 0x3D
宣言にはメモリの確保クラスを指定します。この指定は煩雑であるため、上述のように別名定義を行っています。
メモリ確保クラスに応じたbegin()
メソッドを呼び出します。
ty
で指定する形式で、p
で指定したバッファを用います。バッファの最大長はmax_siz
で、バッファの有効データ長をsiz
で指定します。
この定義は、特に、データ列を書式出力したい場合に用います(>>
演算子参照)
ty
で指定する形式で初期化を行います。
ty
で指定する形式で、siz
で指定したサイズをヒープに確保して初期化します。
一度確保したヒープ領域は解放できません。
内部バッファを返す。バッファは smplbuf<uint8_t, alloc>
型となります。
入力文字を処理する。書式入力の入力文字列を1バイト受け取り書式に従い解釈します。例えばASCII書式では:00112233X
のような系列を入力として受け取りますが : 0 0 ... X
の順で1バイトずつ入力し、最後の X
を入力した時点で書式の解釈を完了し、完了済みと報告します。
parse()
のパラメータは入力バイト、戻り値は解釈完了であればtrue
を戻します。
parse()
で読み出し完了になったとき、次のparse()
を実行すると読み出し中のステータスに戻ります。
true
ならparse()
により読み出しが完了した状態で、false
なら解釈中となります。
内部バッファを書式形式でストリーム(Serial)に対して出力します。
入出力ストリーム
入出力ストリームを処理する上位クラスです。
CRTP (Curiously Recurring Template Pattern) 手法を用いたポリモーフィズムにより、いくつかのクラス(Serial, Wire, SPI, smplbuf
) にインタフェースを提供します。
CRTP では下位クラスは template class Derived : public stream<Derived>;
のように定義し、上位クラスからも下位クラスのメソッドを参照します。
本クラスでは print
メソッド、<<
演算子などの共通処理の定義を行い、下位クラスで実装した write()
メソッドなどを呼び出すことで、仮想関数を用いるのと近い実装を行っています。
下位クラスでは、以下に列挙する関数を実装します。
入力が存在する場合は 1、存在しない場合は 0 を返します。
本実装の戻り値はバッファ長ではありません。
出力をフラッシュ(出力完了まで待つ)します。
ストリームより1バイトデータを入力します。データが存在しない場合は -1
を戻します。
ストリームに1バイト出力します。
1バイト出力を行うスタティック関数です。クラスメソッドではないため、メンバー変数等の情報は利用できません。替わりにパラメータとして渡される vp にクラスインスタンスへのポインタを渡します。
このスタティック関数は内部的に利用されfctprintf()
の1バイト出力関数として関数ポインタが渡ります。これを用いてprint
メソッドなどを実装しています。
1バイト出力します。
各種整形出力を行います。
printf 形式での出力を行います。
TWESDK/TWENET/current/src/printf/README.md 参照
バイト列として出力する際は、uint8_t, uint16_t, uint32_t
型にキャストします。また文字列として数値出力する場合は明示的にint
形にキャストするようにしてください。
入力処理を行います。
setup()
内では実行できません。
入力タイムアウトとエラーを管理します。set_timeout()
によりタイムアウト時間を指定し、>>演算子により入力処理を行います。所定時間内までに入力が得られない場合は get_error_status()
によりエラー値を読み出せます。clear_error_status()
によりエラー状況をクリアします。
アプリケーションの記述を行うコールバック関数です。コールバックはシステム(ライブラリ)から呼び出されるという意味です。ユーザがいくつかのコールバック関数を定義することでシステムの振る舞いを記述します。
以下のコールバック関数は必須定義です。
setup()
loop()
それ以外の関数は定義しない場合は、何も実行しない空の関数が替わりにリンクされます。
正確なふるまいを参照したい方はソースコードmwx_appcore.cpp
を参照してください。
正確なふるまいを参照したい方はソースコードmwx_appcore.cpp
を参照してください。
twe::stream に改行コードを出力する
mwx::stream
の <<
演算子に対して改行コード (CR LF) を出力するためのヘルパークラスのインスタンスです。
twe::stream へのバッファ出力をフラッシュする。
mwx::stream
の出力バッファをフラッシュする。flush()
メソッドを呼び出すヘルパークラスへのインスタンス。
シリアルポートの場合は出力完了までポーリング待ちを行う
mwx::simpbuf
バッファの場合は 0x00
を末尾に出力する(サイズは変更しない)
コード実行の初期に呼び出され、初期化コードを記述します。
TWENETの初期化は setup()
関数が終了した後にも実行されます。多くの処理はTWENETが終了した後に実行するようになっているため、ここでは初期化以外の処理を行わないようにしてください。
注意すべき事項を以下に列挙します。
スリープthe_twenet.sleep()
の実行はできません。初期化後速やかにスリープしたいときはbegin()
関数内に最初のスリープ処理を記述してください。
delay()
関数は後述の処理*に置き換えられます。この場合、パラメータのms
はミリ秒を指定するものではありませんが、setup()
の32Mhzクロックに併せてミリ秒指定に近くなるように調整されています。
* delay()
の代替処理
パラメータ
解説
fmt
フォーマット書式。
TWESDK/TWENET/current/src/printf/README.md 参照
...
フォーマット書式に応じたパラメータ。 ※ 最大数は4で、5つ以上のパラメータではコンパイルエラーとなる。
※ 書式との整合性はチェックしないため、不整合な入力に対しては安全ではない。
定数
種別
uint8_t PARSER::ASCII = 1
アスキー形式
uint8_t PARSER::BINARY = 2
バイナリー形式
======
元データのバイト数
バイト数
解説
ヘッダ
1
:
(0x3A) コロンを指定します。
データ部
N
2N
元データの各バイトをアスキー文字列2文字(A-F は大文字)で表現します。
例えば 0x1F は 1
(0x31) F
(0x46) と表現します。
チェックサム
2
データ部の各バイトの和を8ビット幅で計算し2の補数をとります。つまりデータ部の各バイトの総和+チェックサムバイトを8ビット幅で計算すると0になります。
チェックサムバイトをアスキー文字列2文字で表現します。
例えば 00A01301FF123456
では 0x00 + 0xA0 + ... + 0x56 = 0x4F となり、この二の補数は0xB1 です。(つまり 0x4F + 0xB1 = 0x00)
フッタ
2
[CR] (0x0D) [LF] (0x0A) を指定する。
======
元データのバイト数
形式におけるバイト数
解説
ヘッダ
2
0xA5 0x5A
を指定します。
データ長
2
データ長はビッグエンディアン形式の2バイトで、MSB (0x8000) を設定した上、データ部の長さを指定します。
例えばデータ部の長さが 8 バイトなら0x80 0x08
を指定します。
データ部
N
N
元データを指定します。
チェックサム
1
データ部の各バイトの XOR を計算します。
例えばデータ部が 00A01301FF123456
なら 0x00 xor 0xA0 xor ... 0x56 = 0x3D となります。
フッタ
(1)
チェックサムが事実上の終端です。無線モジュールからの出力では 0x04
(EOT) が付加されます。
クラス名(別名定義) メモリ確保
内容
serparser_attach
すでにあるバッファをbegin()
にて指定する
serparser_local<N>
Nバイトのバッファを内部に確保する
serparser_heap
begin()
メソッドのパラメータで指定したサイズをヒープに確保する
パラメータ
解説
v
uint16_t
または uint32_t
の型の値
パラメータ
解説
戻り値 int
0: データなし 1:データあり
パラメータ
解説
n
出力したい文字。
戻り値 size_t
出力が成功すれば 1、失敗すれば 0。
パラメータ
解説
out
出力したい文字
vp
クラスインスタンスへのポインタ 通常は、元のクラスにキャストして write() メソッドを呼び出す
パラメータ
解説
val
整形出力したい数値型
base
出力形式
BIN 二進数 / OCT 8進数 / DEC 10進数 / HEX 16進数
place
小数点以下の桁数
戻り値 size_t
書き出したバイト数
引数型
解説
char
1バイト出力 (数値としてフォーマットはしない)
int
整数出力 (printf の "%d")
double
数値出力 (printf の "%.2f")
uint8_t
1バイト出力する(char型と同様)
uint16_t
2バイト出力する(ビッグエンディアン順)
uint32_t
4バイト出力する(ビッグエンディアン順)
format()
printf 形式での出力
mwx::crlf
改行 CRLF の出力
mwx::flush
出力のフラッシュ
bigendian()
数値型をビッグエンディアン順で出力する。(右辺値)
std::pair<T*, T*>
バイト型の begin(), end()
ポインタを格納したペア。make_pair
により生成できる。T
は uint8_t
型を想定する。(右辺値)
bytelist()
std::initializer_list
を用いるバイト列の出力
smplbuf<uint8_t>
smplbuf<uint8_t>
のデータを出力する
smplbuf<uint8_t>::to_stream()
smplbuf<uint8_t>
のデータを出力する
引数型
解説
uint8_t
1バイト入力
uint16_t
2バイト入力(ビッグエンディアン順)
uint32_t
4バイト入力(ビッグエンディアン順)
null_stream(int n)
nバイト読み捨てる
引数型
解説
centisec
1/100秒単位でタイムアウト時間を設定します
値
意味
0
エラーなし
1
エラー状況
システム時刻[ms]を得ます。
システム時刻はTickTimerの割り込みで更新されます。
通常は使用しません。
ペリフェラルAPIも初期化もされていない、コード実行の再初期に呼び出されます。
このコールバック関数定義は省略可能です。
通常は使用しません。
スリープ復帰後、ペリフェラルAPIが初期化されない再初期に呼び出されます。
この関数では割り込み要因の検出を行うことができます。
このコールバック関数定義は省略可能です。
スリープから起床したときにloop()
に移行する前に呼ばれ、スリープ復帰後の初期化処理や復帰状態によって処理を分岐するための手続きを含めます。
センサーの読み出しなどの処理のみでloop()
での処理がないときは、この関数内で再びスリープを実行できます。
このコールバック関数定義は省略可能です。
ビヘイビアは、指定の方法でクラスを定義することで、the_twelite
クラスオブジェクトに登録できるようになります。登録したビヘイビアはTWENETに組み込まれて動作し、ユーザコードではアプリケーションの振る舞いを記述できるようになります。ループでの記述ではできなかったTWENETからの割り込みやイベントのコールバック関数を定義することが出来ます。ループでの記述に比べ、定義が多くなりますが、より複雑なアプリケーションを記述するのに向いています。
ビヘイビアのサンプルPAL_AMB-behaviorを参照してください。
ビヘイビアの定義には下記に示すようなクラス定義が必要です。
上記の例ではMY_APP_CLASSという名前でビヘイビアクラスを定義しています。いくつかの箇所にMY_APP_CLASSの記述が必要です。
クラス名の定義と、ベース(親)クラスの定義をします。MWX_APPDEFS_CRTP()
はマクロです。
ここでは必要な定義を #include
により取り込んでいます。
コンストラクタの定義です。
メインループで、グローバル定義のloop()
と同じ役割の関数です。
on_create()
はオブジェクト生成時(use<>()
メソッド)に呼び出されます。val
は将来の拡張のためのパラメータです。
on_begin()
はsetup()
終了後に呼び出されます。val
は将来の拡張のためのパラメータです。
スリープ前に呼び出されます。val
は将来の拡張のためのパラメータです。
スリープ復帰時の初期段階で呼び出されます。val
は将来の拡張のためのパラメータです。
この時点でまだペリフェラルが初期化されていません。スリープ起床要因の確認ができます。
スリープ復帰時に呼び出されます。val
は将来の拡張のためのパラメータです。
ここでスリープ呼び出しも可能です。
パケットが受信されたとき、受信したパケット情報をrx
として呼び出されます。
パケット送信完了時に送信情報をevTx
として呼び出されます。evTx.u8CbId
が送信時のIDでevTx.bStatus
が送信の成功(1
)失敗(0
)を示すフラグです。
ビヘイビアのハンドラ(割り込み、イベント、状態定義)はcppファイルに定義します。ファイルは分割できず、全てのハンドラ定義を一つのファイル中に記述します。
ハンドラの定義をしないビヘイビアの場合でも、必ず、下記のcppファイルを作成します。
cppファイルの冒頭と末尾にはMWXライブラリの必要な定義(#include "_mwx_cbs_cpphead.hpp"
)をインクルードする必要があります。
ファイルの冒頭には、上記のようにビヘイビア定義の.hppファイルをインクルードします。__MWX_APP_CLASS_NAME
にはビヘイビアのクラス名を指定します。上記ではMY_APP_CLASS
です。
ファイルの末尾では必要な定義(#include "_mwx_cbs_cpptail.cpp"
)をインクルードします。
ハンドラ定義は以下の例のように記述します。定義の種別については後述します。定義用のマクロを用いて利用したいハンドラの定義を記述します。利用しないハンドラは記述しないようにしてください。
MWX_???_INT()
は割り込みハンドラの定義、MWX_???_EVENT()
はイベントハンドラの定義、MWX_STATE()
はステートマシンの状態定義です。
割り込みハンドラは、マイコンの割り込みが発生したときに現在実行中のコードを中断して実行されます。このため、可能な限り短い処理を記述することが望ましく、また、変数等の操作に対しても細心の注意が必要です。
割り込みハンドラのパラメータにはuint8_t& handled
があり、この値をtrue
にセットすることで、続くイベント呼び出しを行いません。
handled
がfalse
のまま割り込みハンドラを終了した場合、アプリケーションループ(通常コード)の中でイベントハンドラが呼び出されます。イベントハンドラにはhandled
のパラメータはありません。イベントハンドラは通常コードですので、比較的大きな処理を行うことが出来ます。イベントハンドラのオーバーヘッドも発生するため、頻繁な割り込み都度呼び出されるような処理の場合、処理しきれなくなる可能性があります。また、イベントの発生はシステム内部のFIFOキューにより処理されるため、一定時間内に処理できない場合はイベントが消失する場合もあります。
以下にハンドラ関数定義用のマクロの解説を行います。
DIO(ディジタルIO)割り込み・イベントです。N
は対象DIOの番号を指定します。arg
は将来の拡張のための定義です。
割り込みを発生させるためにはpinMode()
による適切な入力設定, attachDioInt()
による割り込み開始の設定が必要です。
TickTimer割り込み・イベントです。arg
は将来の拡張のための定義です。
TickTimerのhandled
フラグをtrue
にセットしてはいけません。TWENETが動作しなくなります。
タイマー割り込み・イベントです。N
は対象タイマーの番号を指定します。arg
は将来の拡張のための定義です。
割り込みを発生させるためには、Timerオブジェクトをソフトウェア割り込みを有効にして開始します。
MWXライブラリで標準的に定義しない、その他の割り込み・イベントの定義です。AHIペリフェラルマニュアルの理解が必要です。
その他の割り込み・イベントは以下のハンドラ関数で受けることが出来ます。これらは将来的に専用のハンドラが定義された場合、利用できなくなります。
ペリフェラル (AHI) の割り込みハンドラのu32DeviceId
がarg
、u32ItemBitmap
がarg2
に対応します。
状態マシン(ステートマシン)は、メッセージを受け取り、そのメッセージに応じて状態を遷移させながら動作させるアプリケーションの記述方法です。
PAL_AMB-behaviorサンプルでは、センサーの動作開始からセンサーの値取得、無線パケット送信から送信完了まで、スリープ遷移といったアプリケーションの動作の流れを記述しています。実例として参考にしてください。
受け取るイベントは以下となります。
状態をs
に設定します。
状態ハンドラを抜けると次の状態に遷移し、続けてE_EVENTS_NEW_STATE
イベントで状態ハンドラが呼び出されます。
状態遷移してからの経過時間[ms]を返します。タイムアウトを管理するような目的で使用します。
上記の例では100ms経過した時点でシステムリセットを行います。
状態ハンドラ外から呼び出します。状態ハンドラをイベントev
パラメータu32evarg
で実行します。
送信完了イベントを状態マシンに伝えます。つまり状態ハンドラの呼び出しを行います。
直接状態ハンドラを呼び出すことは行わないでください。E_EVENT_NEW_STATE
が実行されないなどの問題が発生します。
スリープ直前に設定します。スリープ復帰後に、直前の状態を維持します。つまり、スリープを開始した状態でE_EVENT_START_UP
で状態ハンドラが呼び出されます。
イベントが起床時のE_EVENT_START_UP
かどうか判定します。
イベントがスリープ復帰時のE_EVENT_START_UP
かどうか判定します。
環境センサーパル AMBIENT SENSE PAL を用い、センサー値の取得を行います。
このアクトの解説の前にBRD_APPTWELITEの解説、PAL_AMBの解説、PAL_AMB-usenapの解説を参照してください。またビヘイビアの解説についても参照ください。
このサンプルはビヘイビアの記述方法のサンプルです。ビヘイビアはより複雑なアプリケーションを記述する際に用います。
環境センサーパル AMBIENT SENSE PAL を用い、センサー値の取得を行います。
コイン電池で動作させるための、スリープ機能を利用します。
親機にPALを使用する場合は、コイン電池での動作はできません。目安として50mA以上の電流を安定して得られるような電源環境を用意してください。
PAL_AMB-behavior.hpp : setup()
のみの定義です。DIP-SWを読み出し、D1..D3が上位置の場合は親機として動作し、それ以外は子機としてDIP SWに対応するIDをセットします。
Parent/myAppBhvParent.hpp : 親機用のビヘイビアクラス定義
Parent/myAppBhvParent.cpp : 実装
Parent/myAppBhvParent-handlers.cpp : ハンドラーの実装
Parent/myAppBhvParent.hpp : 子機用のビヘイビアクラス定義
Parent/myAppBhvParent.cpp : 実装
Parent/myAppBhvParent-handlers.cpp : ハンドラーの実装
親機のビヘイビア名は<MY_APP_PARENT>
、子機は<MY_APP_CHILD>
です。
ビルドファイルの追加はMakefileの解説を参照してください。
DIP SWの読み値が0の場合は親機用のビヘイビア<MY_APP_PARENT>
を、それ以外の場合は子機用のビヘイビア<MY_APP_CHILD>
を登録します。
親機がMONOSTICKの場合は、PAL用のDIP SWの読み値は0となり、親機としてふるまいます。ただしこの動作はMONOSTICKの仕様として定義されているものではありません。
親機はスリープをしない受信機としてふるまい、子機からのパケットを受信したときにシリアルポートにパケットの情報を出力します。
親機用がパケットを受信したときは、パケットの先頭4文字が照合(FOURCHARS
)できれば、そのパケット内容を表示します。
親機の割り込みハンドラはLEDの点滅を行います。
PAL上のボタン(5)が押されたときには、状態マシンに対してE_ORDER_KICK
イベントを発行します。
状態マシンは、状態遷移の参考として記述したもので、アプリケーションの動作上意味のあるものではありません。ボタンから送付されるE_ORDER_KICKイベントによる状態遷移や、タイムアウトなどを実行しています。
子機の動作の流れはPAL_AMB-usenapと同じです。初回スリープから「起床→センサー動作開始→短いスリープ→起床→センサー値取得→無線送信→無線送信完了待ち→スリープ」を繰り返します。
on_begin()
から呼び出される_begin()
関数では、初回スリープを実行しています。
(※_begin()
関数で本処理を記述せずon_begin()
に直接記述してもかまいません)
スリープからの起床処理を記述しています。
ここで初回のWire.begin()
を実行しています。2回目以降のスリープ起床時では冗長な記述です。この処理はon_begin()
に移動してもかまいません。
送信完了時に状態マシンに対してE_ORDER_KICK
メッセージを処理します。
状態名を定義しています。
SHTC3用のセンサー取得実装例です。送付コマンド等の詳細はSHTC3のデータシートなどを参考にしてください。
LTR308ALSのセンサー取得実装例です。送付コマンド等の詳細はLTR308ALSのデータシートなどを参考にしてください。
WireWriteAndGet()
はaddr
のデバイスに対してcmd
を1バイト送信してから、1バイト受信して値を返します。
0番の状態は特別な意味を持ちます。起動直後またはスリープ復帰後の状態です。
起動直後PEV_is_coldboot(ev,evarg)
判定がtrue
になって呼び出されます。on_begin()
から、そのままスリープしてしまうため、状態遷移するようなコードも含まれません。この時点では主要な初期化がまだ終わっていませんので、無線パケットの送信など複雑な処理を行うことが出来ません。そのような処理を行うための最初の状態遷移を行うためにはon_begin()
からイベントを送り、そのイベントに従って状態遷移を行います。
スリープ復帰後はPEV_is_warmboot(ev,evarg)
がtrue
になる呼び出しが最初にあります。PEV_SetState()
を呼び出しSTATE_SENSOR
状態に遷移します。
スリープ復帰後STATE_IDLE
から遷移したとき、STATE_SENSOR
の状態ハンドラが続けて呼び出されます。この時のイベントev
はE_EVENT_NEW_STATE
です。
ここではSHTC3, LTR308ALSの2センサーの動作開始を行います。一定時間経過すれば、センサーはデータ取得可能な状態になります。この時間待ちを66
ms設定のスリープで行います。スリープ前にPEV_KeepStateOnWakeup()
が呼ばれている点に注意してください。この呼び出しを行うと、スリープ復帰後の状態はSTATE_IDLE
ではなく、スリープしたときの状態、つまりSTATE_SENSOR
となります。
短いスリープから復帰するとPEV_is_warmboot(ev,evarg)
判定がtrue
となる呼び出しが最初に発生します。この呼び出し時点で、無線パケットの送信などを行うことが出来ます。STATE_TX
に遷移します。
ここではE_EVENT_NEW_STATE
イベントの時に、センサーデータ読み出し、無線パケットの送信手続きに入ります。送信手続きの詳細は他のアクトサンプル例を参考にしてください。
送信完了まちの処理はループでのアクト記述と違い、transmit_complete()
からのPEV_Process()
によるメッセージを待つことで完了確認としています。メッセージを受け取った時点でスリープします。スリープ処理はSTATE_SLEEP
に遷移することで行っています。
最後にタイムアウト処理を行っています。万が一送信パケットの完了メッセージが戻ってこなかった場合を想定します。PEV_u32Elaspsed_ms()
はその状態に遷移してからの経過時間を[ms]で返します。時間経過した場合は、上記では(このタイムアウトは余程のことだとして)システムリセットthe_twelite.reset_system()
を行います。
スリープを行います。前の状態から遷移した直後のE_EVENT_NEW_STATE
に記述します。スリープ直前に他のイベントが呼ばれる可能性がありますので、必ず1回だけ実行される判定式の中でthe_twelite.sleep()
を実行してください。
乱数を生成します。
1行目は0..(maxval-1)
の値を戻します。maxvalの値が最大値ではないことに注意してください。
2行目はminval..maxval-1
の値を戻します。
ポーリングによる時間待ちを行います。
ms
にて与えられた期間待ち処理を行います。
時間の計測はTickTimerのカウントによって行っています。また長い時間待ちを行う場合はCPUのクロックを低下してポーリング処理を行います。
delay()
を呼び出してから約5ms経過するごとにTWELITEマイコン内部のウォッチドッグ処理を行います。
※例えばwhile(1) delay(1);
を実行した場合は、delay()
内部で5ms経過しないためウォッチドッグ処理が行われず、一定時間後リセットが実行されます。
setup(), wakeup()
関数内では、TickTimerがまだ動作していないため、whileループによる時間待ち処理になります。この場合、指定値との誤差は大きくなります。このループカウンタは32Mhzに合わせて調整しています。これら関数内でCPUクロックを変化させた場合は、そのクロックに比例した誤差が発生します。
パラメータに1,2といった短い時間を指定した場合は、誤差が大きくなる場合があります。
ディジタル出力ピンの設定を変更します。
事前にpinMode()
にて設定対象のピンを出力用に設定しておきます。1番目のパラメータは、設定対象のピン番号を指定します。2番目のパラメータはHIGH
かLOW
のいずれかを指定します。
入力が E_PIN_STATE
型となっています。E_PIN_STATE
からint
型への変換演算子は定義していませんので、数値による直接の入力はできないようになっています。
DIO(汎用ディジタルIO)ピンの設定を行います。
この関数では DIO0..19 と、DO0,1のピンの状態を変更できます。設定内容は E_PIN_MODE
の列挙値のとを参照してください。
DO0,1は特殊なピンで、原則として他の目的で利用されるものですが、出力としても設定可能です。ただしハード的な制約があるピンですので、利用には注意が必要です。
両方のピンは、電源投入時にHIGHレベルが担保される必要があります。不安定な電圧をとったりするような回路構成の場合、モジュールが起動しないなどの問題が出ます。
入力設定のポートの値を読み出す。
事前に入力に設定したピンの入力値をLOW
またはHIGH
で得ます。
E_PIN_STATE
型からint
型への変換演算子は定義していないため、数値型への直接的な代入はできません。
イベント名
内容
E_EVENT_START_UP
システム始動時に呼び出される。電源投入直後はパラメータが0
で呼び出されます。実行初期であるため、通常処理を行う状態に遷移する場合は一旦begin()メソッドからPEV_Process()
を呼び出し動作を開始させます。
スリープ復帰後も呼び出されるがパラメータは0
以外です。この状態からは通常処理を行えます。
E_EVENT_NEW_STATE
状態遷移直後に新しい状態で呼び出されます。ある状態に遷移したときに最初に実行される処理を記述します。
E_EVENT_TICK_TIMER
1msごとのTickTimerで呼び出されます。
E_EVENT_TICK_SECOND
1秒毎に呼び出されます。
役割
例
親機
子機
定義 | 名称 |
| DIOピン0~19 |
| DOピン0,1 |
定義 | プルアップ | 名称 |
| 無 | 入力 |
| 無 | 出力 |
| 有 | 入力 |
| 無 | 出力(初期状態HIGH) |
| 無 | 出力(初期状態LOW) |
| 無 | 入力、起床ピン、立下り |
| 無 | 入力、起床ピン、立上り |
| 有 | 入力、起床ピン、立下り |
| 有 | 入力、起床ピン、立上り |
| 有 | 入力状態に戻す |
定義 | 名称 |
| 出力 |
| 出力(初期状態HIGH) |
| 出力(初期状態LOW) |
| 出力設定をやめる |
定義 | 値 | 名称 |
| 1 | HIGHレベル(=Vccレベル) |
| 0 | LOWレベル(=GNDレベル) |
定義 | 名称 |
| 立ち下り |
| 立ち上がり |
割り込みハンドラの登録を解除します。
指定したビット位置に1をセットします。
パラメータは可変数引数で指定でき、各パラメータはビット位置を指定する0..31の整数を指定する。例えばpack_bits(1,3,6)
と指定すると((1UL<<1)|(1UL<<3)|(1UL<<6))
を返します。
constexpr
は定数による計算が可能な場合はコンパイル時に定数展開します。
DIO割り込みを有効にします。
事前に入力設定したピンに対して、1番目のパラメータは割り込みを有効にしたいピン番号で、2番目は割り込み方向(立ち上がり、立ち下がり)を指定します。
割り込みハンドラ、イベントハンドラの記述はアプリケーションビヘイビアで行います。
DIO5のピンがHIGHからLOWに変化したときに割り込みが発生する設定を行う。
アプリケーションビヘイビアmyAppClass
の基本定義。詳細は省略している。
アプリケーションビヘイビアmyAppClass
の割り込みハンドラの記述。DIO5の割り込み発生時にDIO12の出力設定を反転させ、割り込みハンドラが終了してから発生するイベントではシリアルポートSerial
に*
を表示する。
整数から指定したビット位置の値を取得し、指定した順番のビットマップを作成します。
パラメータbmに指定する値から、その後の可変数パラメータで指定する0..31のビット位置に対応する値を取り出します。取り出した値はパラメータ順に並べビットマップとして戻り値になります。
ビットマップの並び順は、最初のパラメータを上位ビットとし末尾のパラメータがbit0になります。
例ではb1のビット4,2,1,0を取り出すと (1,0,1,0) になります。これをb1010として0x10のように計算されます。
バイト列を分解し変数に格納します。
expand_bytes()
は、パラメータにuint8_t*
型のイテレータの組み合わせを指定します。これは解析対象の先頭と末尾の次のイテレータの指定となります。e
の位置まで解析が進んだ場合はエラーとなりnullptr
を返します。
展開にエラーがない場合は、次の読み出しを行うイテレータを戻します。
可変数パラメータには以下を指定します。
この例では、まず4バイトの文字列を読み出しています。ここではmake_pair()
を用いて明示的に4バイト分のデータを読み出します。
戻されたイテレータnp
をもとに、次のデータを読み出します。次のデータはuint8_t
型、あとはuint16_t
型が5つ続いています。
バイト数
データ長
解説
uint8_t
1
uint16_t
2
ビッグエンディアン並びとして展開する
uint32_t
4
ビッグエンディアン並びとして展開する
uint8_t[N]
N
uint8_t
型の固定長配列
std::pair<char*,N>
N
char*
,uint8_t*
型の配列と配列長のペアmake_pair()
で生成できる
データ型 | バイト数 | 解説 |
| 1 |
| 2 | ビッグエンディアン並びで格納される |
| 4 | ビッグエンディアン並びで格納される |
| N |
|
| N |
|
データ型 | バイト数 | 解説 |
| 1 |
| 2 | ビッグエンディアン並びで格納される |
| 4 | ビッグエンディアン並びで格納される |
| N |
|
| N |
|
|
|
|
チェックサムの計算で良く用いられる値です。
CRC8, XOR, LRC(アスキー形式で使用)の計算を行います。
CRC8_u8CalcU16(), CRC8_u8CalcU32()
はu16c, u32c
をビッグエンディアン並びとして、CRC8を計算します。
CRC8は、計算式や初期値などによって種類がありますが、本ライブラリでは多項式をX^8+X^5+X^4+1
(Polynomial Valueを0x31)をとしたものを使用しています。これはCRC8-CCITT や CRC8-Maximと呼ばれることがあります。
XORは各要素の排他的論理和 XOR をとったものです。
LRCは各要素の値の合計を計算し、下位8ビットの2の補数を取ります。結果、チェックサムを含め全要素を足し算すると0になります。