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Act/behavior Programming Interface
MWXライブラリのAPIは、今後、改善を目的として仕様の変更を行う場合があります。
クラスオブジェクトは、MWXライブラリであらかじめ定義されたオブジェクトで、TWENETを取り扱うthe_twelite
、ペリフェラルの利用のためのオブジェクトが定義されています。
各オブジェクトは.setup()
, .begin()
メソッドの呼び出しを行って初期化する必要があります。(UART0を利用するSerial
オブジェクトのみ初期化は必要ありません)
ディジタル入力管理クラス (mwx::periph_buttons)
ディジタル入力の変化を検出します。このクラスは、同じ検出値が複数回得られたときに変化を検出します。メカ式のボタンのチャタリングの影響を小さくするのに有効です。
パラメータのmax_history
は、begin()
で設定可能な参照回数の最大値です。ここではメモリーの確保と初期化を行います。
Buttons
の動作を開始します。1番目のパラメータbmPortMask
は監視対象のディジタル入力のビットマップを指定します。bit 0がDIO 0, ... , bit N がDIO Nに対応します。複数指定することができます。2番目のu8HistoryCount
は値の確定をするのに必要な回数です。3番目のtick_delta
は値の確認を行う間隔をmsで指定します。
値の確定にはu8HistoryCount*tick_delta
[ms]かかることになります。例えばu8HistoryCount
=5, tick_delta
=4の場合は、状態の確定に最低約20msかかります。
確認はTickTimer
のイベントハンドラで行っています。割り込みハンドラではないので、処理等の遅延の影響を受けますが、メカ式ボタン等のチャタリング抑制には十分です。
Buttons
の動作を終了します。
変化が検出されたときにtrue
を返します。read()
を実行するとクリアされます。
availableになったとき呼び出します。u32port
は現在の入力DIOのビットマップ、u32changed
は変化が検出されたDIOのビットマップです。
Buttonsが動作していない場合はfalse
を返します。
Buttonsが動作を開始した時点では、DIOの入力状態は未確定です。値が確定した時点でavailableになります。このときread()
で読み出すビットマップのMSB(bit31)が1にセットされます。
動作確定を要するため、入力値が定常的に変化するポートを監視する目的では利用できません。
スリープ前にButtonsが稼働状態であれば、復帰後に再開します。再開後、初回確定を行います。
TWENET 利用の中核クラス (mwx::twenet)
the_twelite
オブジェクトは、TWENETの利用手続きをまとめたもので、無線の基本設定やスリープ等の手続きなど無線マイコンを操作するための手続きが含まれます。
the_twelite
はsetup()
関数内で設定と開始the_twelite.begin()
を行います。setup()
以外では設定は行えません。
上記の例では、アプリケーションIDの設定、通信チャネルの設定、受信回路の設定を行っています。
様々な手続きが含まれます。
また無線ネットワークを取り扱うクラスやボード対応をまとめたクラス、ユーザ記述のイベントドリブン処理を行うクラスを登録できるようになっています。このクラスを登録することにより、専用化した機能を手軽に利用できるようになります。これらのクラスを本解説中では「ビヘイビア」と呼称します。
上記の例では環境センサーパル<PAL_AMB>
と、シンプル中継ネットワーク<NWK_SIMPLE>
の2種類を登録しています。これらを登録することにより環境センサーパル上のセンサーなどハードウェアを簡易に取り扱うことが出来ます。また煩雑な無線パケットの取り扱いについて中継の処理や重複で届いたパケットの自動破棄などの機能を暗黙に持たせることが出来ます。
MWXライブラリには、ここで紹介したメソッド以外にも定義されています。
アクト記述には直接関係ないもの、設定しても有効に機能しないもの、内部的に使用されているものが含まれます。
<<
演算子 (設定)オブジェクトthe_twelite
の初期設定を行うために<<
演算子を用います。
以下に挙げる設定用のクラスオブジェクトを入力とし、設定をしなければデフォルト値が適用されます。
パラメータid
に指定したアプリケーションIDを設定します。これは必須指定です。
設定の読み出しは uint32_t the_twelite.get_appid()
で行います。
パラメータch
に指定したチャネル番号(11
..26
)を設定します。
設定の読み出しはuint8_t the_twelite.get_channel()
で行います。
パラメータpw
に指定した出力設定を(0
..3
)を設定します。デフォルトは(3:出力減衰無し)です。
設定値の読み出しはuint8_t the_twelite.get_tx_power()
で行います。
パラメータbEnable
が1
であれば常に受信回路を動作させ、他からの無線パケットを受信できるようになります。デフォルトは0
で、もっぱら送信専用となります。
設定値の読み出しはuint8_t the_twelite.get_rx_when_idle()
で行います。
チャネルマネージャを有効にします。チャネルを複数指定すると複数チャネルでの送受信を行います。ch2
,ch3
に0を指定すると、その指定は無効になります。
インタラクティブモードの設定値を反映します。
反映される項目は以下です。
app_id
channel
tx_power
MAC ack 使用時の再送回数
MWXライブラリコード中には他にも設定項目がありますが、現時点ではライブラリの機能に無関係な設定であったり、設定を行うと矛盾を起こす可能性があるものです。
事前に設定(<<
演算子参照)や、ビヘイビアの登録を済ませた後に実行します。通常はsetup()
関数内の一番最後に記述します。
the_twelite
設定完了
ビヘイビアの初期化
TWENETの初期化は setup()
関数が終了した後にも実行されます。多くの処理はTWENETが終了した後に実行するようになっているため、ここでは初期化以外の処理を行わないようにしてください。
チャネル設定を変更します。失敗時にはチャネルは変更されずfalse
を戻します。
現在設定中のチャネル番号(11..26)を取得する。MAC層のAPIより取得します。
モジュールのシリアル番号を取得します。
モジュールをスリープさせる。
スリープ前に組み込みオブジェクトやビヘイビアの on_sleep()
メソッドが呼び出され、スリープ前の手続きを行います。スリープ復帰後は反対に on_wakeup()
メソッドにより復帰処理が行われます。
スリープからの復帰要因が指定したディジタルピンである場合にtrue
を返します。
スリープからの復帰要因がウェイクアップタイマーである場合にtrue
を返します。
システムをリセットします。リセット後はsetup()
からの処理となります。
ウォッチドッグタイマーを停止します。長時間のポーリング待ちを行うような場合はタイマーを停止します。
ウォッチドッグタイマーはライブラリ内部のメインループで都度再開(restart)しています。タイマーが切れリセットがかかるまで約4秒です。
ウォッチドッグタイマーを再開します。
twe_twelite
には3つのビヘイビアを登録でき、これらを格納する以下のクラスオブジェクトを定義されています。
network
: ネットワークを実装するビヘイビアです。通常は<NWK_SIMPLE>
を登録します。
board
: ボード対応のビヘイビアです。ボード上の各デバイス利用手続きが付加されます。
app
: ユーザアプリケーションを記述したビヘイビアです。割り込みやイベント記述、ステートマシンによる状態遷移によるふるまいの記述が可能です。また複数のアプリケーション記述を定義しておいて、起動時に全く振る舞いの違うアプリケーションを選択する記述が容易に行えます。
settings
: 設定(インタラクティブモード)を実行するためのビヘイビアです。<SET_STD>
を登録します。
ビヘイビア<B>を登録します。登録はsetup()
内で行います。戻り値は登録したビヘイビアに対応するオブジェクトの参照です。
登録後は登録時と同じ書式でオブジェクトの取得を行います。
誤ったビヘイビアを指定した場合は、パニック動作(無限ループ)となりプログラムの動作が停止します。
グローバル変数としてビヘイビアのオブジェクトを宣言することを想定していません。利用都度use<B>()
を用いてください。
ただし、グローバル変数にオブジェクトのポインタを定義して以下のように記述することは可能です。(MWXライブラリでは原則としてポインタ型の利用を最小限にとどめ参照型を利用する方針ですので、下記のような記述は推奨しません)
the_twelite
には上述のboard
, network
, app
の3つのクラスオブジェクトが定義されていますが他に以下が定義されています。
送信完了状態を通知する。
イベントドリブンのビヘイビアの記述ではtransmit_complete()コールバックで管理します。
指定したIDのパケットが送信完了したときにtrue
を返す。
指定したIDのパケットが送信完了し、かつ送信成功したときにtrue
を返す。
受信パケットを取得する。
イベントドリブンのビヘイビアの記述ではreceive()コールバックで取得します。
read()
メソッドで得られる受信パケットデータは、続くパケットが受信処理時に上書きされる設計となっています。available
直後に読み出してなにか短い処理をする場合は問題になることはありませんが、原則として読み出し→アプリケーションが使うため必要なデータのコピー→loop()
の終了を速やかに行います。例えばloop()
中で長いdelay()
を行うと受信パケットの取りこぼしなどが発生します。
まだ読み出していない受信パケットが存在する場合にtrue
を返す。
パケットを読み出します。
ADC (mwx::periph_analogue.hpp)
Analogueは、ADCの実行と値の取得を行います。一度に複数のチャネルを連続取得でき、またこれをタイマーなどの周期に合わせて逐次実行可能です。
標準アプリ(App_Twelite)では、半導体データシート中のピン名ADC2/ADC3が、TWELITE DIPの並びにあわせてAI3/AI2 となっています。ご注意ください。
*1 ディジタル、アナログ共用のADC2/ADC3ピンは利用手続きと利用制限があります。
ADC開始前に利用するピンをプルアップ無しとします。これを実行しないと常にプルアップ電圧をADCで観察することになります。
通常の回路構成では、スリープ時には電流リークが発生します。 ソフトウェアの記述のみで回避することは出来ません。
スリープ時の電流リーク回避には、アナログ回路部分のGNDをFETスイッチなどで切り離し、スリープ中はフローティング状態にします。またスリープ前には入力かつプルアップ状態にピンを設定します。
ADCの初期化を行います。setup()では、半導体内部のレギュレータの始動、周期実行するためのタイマーデバイスの指定、指定チャネルすべてのADCが終了したときに呼び出されるコールバック関数の指定します。
1番目のパラメータにはADCを行いたいポートを指定します。ポートの指定はピンの定義で述べたポート番号に対応するビットをセットしたビットマップになります。例えば