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ディジタル入力管理クラス (mwx::periph_buttons)
ディジタル入力の変化を検出します。このクラスは、同じ検出値が複数回得られたときに変化を検出します。メカ式のボタンのチャタリングの影響を小さくするのに有効です。
パラメータのmax_history
は、begin()
で設定可能な参照回数の最大値です。ここではメモリーの確保と初期化を行います。
Buttons
の動作を開始します。1番目のパラメータbmPortMask
は監視対象のディジタル入力のビットマップを指定します。bit 0がDIO 0, ... , bit N がDIO Nに対応します。複数指定することができます。2番目のu8HistoryCount
は値の確定をするのに必要な回数です。3番目のtick_delta
は値の確認を行う間隔をmsで指定します。
値の確定にはu8HistoryCount*tick_delta
[ms]かかることになります。例えばu8HistoryCount
=5, tick_delta
=4の場合は、状態の確定に最低約20msかかります。
確認はTickTimer
のイベントハンドラで行っています。割り込みハンドラではないので、処理等の遅延の影響を受けますが、メカ式ボタン等のチャタリング抑制には十分です。
Buttons
の動作を終了します。
変化が検出されたときにtrue
を返します。read()
を実行するとクリアされます。
availableになったとき呼び出します。u32port
は現在の入力DIOのビットマップ、u32changed
は変化が検出されたDIOのビットマップです。
Buttonsが動作していない場合はfalse
を返します。
Buttonsが動作を開始した時点では、DIOの入力状態は未確定です。値が確定した時点でavailableになります。このときread()
で読み出すビットマップのMSB(bit31)が1にセットされます。
動作確定を要するため、入力値が定常的に変化するポートを監視する目的では利用できません。
スリープ前にButtonsが稼働状態であれば、復帰後に再開します。再開後、初回確定を行います。
クラスオブジェクトは、MWXライブラリであらかじめ定義されたオブジェクトで、TWENETを取り扱うthe_twelite
、ペリフェラルの利用のためのオブジェクトが定義されています。
各オブジェクトは.setup()
, .begin()
メソッドの呼び出しを行って初期化する必要があります。(UART0を利用するSerial
オブジェクトのみ初期化は必要ありません)
begin()
メソッドによりハードウェアの初期化を行った後、beginTransaction()
によりバスの読み書きができるようになります。beginTransaction()
を実行するとSPIのセレクトピンが選択されます。読み書きはtransfer()
関数を用います。SPIは読み出しと書き込みを同時に実行します。
バスの利用開始を行います。SPIのセレクトピンをセットします。
settings
パラメータを与えて呼び出した場合は、バスの設定を行います。
バスの利用を終了します。SPIのセレクトピンを解除します。
バスの読み書きを行います。trasnfer()
は8bit、transfer16()
は16bit、transfer32()
は32bitの転送を行います。
システムタイマー (mwx::periph_ticktimer)
TickTimerはTWENETの内部制御用に利用され、暗黙に実行されています。タイマーの周期は1msです。loop()
中でTickTimerイベントにより1msごとの処理を記述する目的でavailable()
メソッドのみを定義しています。
必ず1ms刻みでavailableになる訳ではない点に注意してください。
ユーザプログラムの記述内容や、システム内部の割り込み処理などが要因で、大きな遅延が発生することもあり、イベントが飛ばされるような場合もあります。
available()
TickTimer割り込み発生後にセットされ、その直後のloop()
でtrue
になります。loop()
終了後にクリアされます。
ヘルパークラス版はより抽象度が高い実装です。読み書きを行うオブジェクト transceiver
を生成することが、バスの利用開始となり、オブジェクトを破棄するとバス利用の終了手続きを行います。
if文の判定式内でオブジェクトの生成を行うことで、オブジェクトの有効期間はif節内のスコープに限定され、if節を抜けた時点でオブジェクトは破棄され、その時点でバスの利用終了の手続きを行います。
また、読み書きオブジェクトは、mwx::stream
インタフェースを実装しているため<<
演算子などを利用することができます。
バスの利用開始と終了をオブジェクトの有効期間と一致させることで、ソースコードの見通しを良くし、また終了手続きの記述漏れなどを防ぎます
mwx::stream
インタフェースによる読み書き手続きを統一します
読み込み処理とその終了手続きをスコープ内 if() { ... }
で行うためのヘルパークラスを用いた読み込み方法。
上記では get_rwer()
メソッドにより生成された x
オブジェクトを用いて1バイトずつ読み書きを行っています。
if(...)
内で x
オブジェクトを生成します。同時にSPIバスのセレクトピンをセットします。(型は、型推論によるユニバーサル参照 auto&&
で解決しています。)
生成した x
オブジェクトには operator bool ()
が定義されており、判定式の評価として利用される。SPIバスの場合は常に true
となる。
x
オブジェクトには uint8_t transfer(uint8_t)
メソッドが定義されていて、これを呼び出すことでSPIに対して8bitの読み書き転送を行。
if() { ... }
スコープの末尾で x
のデストラクタが呼び出され、SPIバスのセレクトピンを解除します。
SPIバスの読み書きに用いるワーカーオブジェクトを取得します。
それぞれ8bit,16bit,32bitの転送を行い、読み取り結果を書き込んだデータ幅と同じデータ幅で返す。
int
型,uint8_t
型は8bitの転送を行います。
uint16_t
型、uint32_t
型は、それぞれ16bitの転送、32bitの転送を行います。
転送結果は最大16バイトの内部FIFOキューに格納され >>
演算子により読み出します。バッファが大きくないので、転送都度読み出すことを想定します。
直前の転送と同じデータ幅の変数を指定します。
読み出した結果が不要の場合はnull_stream()オブジェクトを使用します。iで指定したデータバイト分だけ読み飛ばします。
シリアルポート向き書式入力 (mwx::serial_parser)
この組み込みクラスはシリアルポートでの書式入力に利用することを想定して組み込みオブジェクトとして定義しています。
初期化時(begin()
)にヒープから内部で使用するバッファ領域を確保するmwx::serial_parser<mwx::alloc_heap<uint8_t>>
型として定義されています。
詳細はクラス serparser を参照してください。
タイマー, PWM (mwx::periph_timer)
タイマーでは、指定周期でのソフトウェア割り込みを発生させる目的、指定周期でPWM出力を行う2つの機能があります。TWELITE無線モジュールには0..4まで合計5つのタイマーが利用可能です。
組み込みオブジェクト名は Timer0..4
ですが、このページでは TimerX
と記載します。
タイマーを初期化します。この呼び出しにより必要なメモリ領域の確保を行います。
タイマーを開始します。1番目のパラメータは、タイマーの周期でHzで指定します。2番目のパラメータをtrue
にするとソフトウェア割り込みが有効になります。3番目のパラメータをtrue
にするとPWM出力を有効にします。
change_hz()
で周波数を変更することが出来ます。change_hz()
ではbegin()
の指定より細かい指定が可能です。
change_duty()
でPWM出力のデューティー比を変更できます。
割り込みハンドラの処理を記述するには、アプリケーションビヘイビアの定義が必要です。
タイマーの動作を停止します。
タイマー割り込みが発生した直後のloop()
でtrue
になり、loop()
が終了すればfalse
になります。
デューティー比の設定を行う。1番目のパラメータにデューティ比を指定します(小さい値を指定すると波形の平均はGNDレベルに近づき、大きい値を指定するとVccレベルに近づく)。2番目のパラメータはデューティ比の最大値を指定します。
duty_max
は1024,4096,16384
のいずれかの指定を推奨します。
内部でのカウント値の計算に除算が発生しますが、これら3つに限りビットシフトによる演算を行っていますが、これ以外の値では計算量の大きい除算処理が実行されます。
タイマーの周波数を設定します。2番目のパラメータは周波数の小数点3桁分の値を整数で指定します。例えば 10.4 Hz としたい場合は hz=10, mil=400
と指定します。
TWELITE 無線マイコンの内蔵EEPROMに対して読み書きを実行します。
内蔵EEPROMはアドレス0x000~0xEFFまでの3480バイトが利用可能です。
先頭部分は設定(インタラクティブモード)に利用されるため、併用する場合は後半のアドレスの利用を推奨します。設定(インタラクティブモード)でどの程度の領域を消費するかは、その実装に依存します。最小限度の設定であっても先頭から256バイトまでは利用されるため、それ以降の利用を推奨します。
EEPROMからaddress
に対応するデータを読み出します。
エラーの検出は行いません。
EEPROMからaddress
に対してvalue
を書き込みます。
エラーの検出は行いません。
write()
と同じく書き込みを行いますが、先にaddress
にあるデータを読み出してvalue
と違う場合のみ、書き込みを行います。EEPROMの書き換え寿命を考慮し、書換回数を減らしたいときに用います。
後述のmwx::stream
を用いた読み書きを行うために、ヘルパーオブジェクトを取得します。
stream_helper ヘルパーオブジェクトを経由して、mwx::stream
による演算子やメソッドを用います。mwx::stream
を用いるとuint16_t
やuint32_t
型といった整数型の読み書き、uint8_t
の固定長配列型の読み書き、format()
オブジェクトによる書式整形などが可能になります。
このオブジェクトに対して<<
演算子などmwx::stream
で定義されたインタフェースを利用できます。
.seek()
を用いてEEPROMのアドレスを1024に移動しています。
上記では8バイト文字列(00bc614e
)、4バイト整数(0x12ab34cd
)、16バイトバイト列(HELLO WORLD!...
)、1バイト終端文字を書き込んでいます。
.seek()
を用いてEEPROMのアドレスを1024に移動しています。
先ほど書き出したデータ列を読み出します。順番に8バイト文字、4バイト整数、16バイト文字列を>>
演算子を用いて読み出します。
二線シリアル(I2C) master の読み書き (mwx::periph_wire)
二線シリアル(I2C) master の読み書きを行います。
mwx::periph_wire<MWX_TWOWIRE_RCVBUFF>
はTwoWire
として参照可能です。
以下の定義型で引数や戻り値の型を記載します。
API 中に STOP ビットの扱いが厳格でない呼び出しを行うものもあります。
write(), writer::operator() ()
には、本解説以外にもいくつか引数が定義されてます。
固定配列型
uint8_t cmds[]={11,12};
...
Wire.write(cmds);
initializer_list<>
型
Wire.write({11,12})
ライブラリ内でインスタンスの生成と必要な初期化は行われます。ユーザコードでは Wire.begin()
を呼び出すことで利用可能となります。
requestFrom()
メソッドを用いる場合、データを一時保管するための FIFO キューのサイズを指定できます。コンパイル時にマクロMWX_TWOWIRE_BUFF
に必要なバイト数を指定してコンパイルする。デフォルトは 32 バイトです。
例:
-DMWX_TWOWIRE_BUFF=16
ハードウェアの初期化を行います。
初期化せずにWireの操作を行うとTWELITE無線モジュールがハングアップします。
スリープからの起床時は、スリープ直前で動作していた場合、直前の状態に復帰します。
読み書きの手続きは、以下の2種類あります。いずれかを選択して利用します。
メンバ関数版 (以下のメンバ関数を用いた入出力)
requestFrom(), beginTransmission(), endTransmission(), write()
ヘルパークラス版(stream機能が使用可能)
reader, writer
address
で指定したデバイスが応答するかを確認します。デバイスが存在する場合は true
が戻ります。
本来はバス周波数を変更するための手続きですが、何も処理をしません。
TWENET 利用の中核クラス (mwx::twenet)
the_twelite
オブジェクトは、TWENETの利用手続きをまとめたもので、無線の基本設定やスリープ等の手続きなど無線マイコンを操作するための手続きが含まれます。
the_twelite
はsetup()
関数内で設定と開始the_twelite.begin()
を行います。setup()
以外では設定は行えません。
上記の例では、アプリケーションIDの設定、通信チャネルの設定、受信回路の設定を行っています。
様々な手続きが含まれます。
また無線ネットワークを取り扱うクラスやボード対応をまとめたクラス、ユーザ記述のイベントドリブン処理を行うクラスを登録できるようになっています。このクラスを登録することにより、専用化した機能を手軽に利用できるようになります。これらのクラスを本解説中では「ビヘイビア」と呼称します。
上記の例では環境センサーパル<PAL_AMB>
と、シンプル中継ネットワーク<NWK_SIMPLE>
の2種類を登録しています。これらを登録することにより環境センサーパル上のセンサーなどハードウェアを簡易に取り扱うことが出来ます。また煩雑な無線パケットの取り扱いについて中継の処理や重複で届いたパケットの自動破棄などの機能を暗黙に持たせることが出来ます。
MWXライブラリには、ここで紹介したメソッド以外にも定義されています。
アクト記述には直接関係ないもの、設定しても有効に機能しないもの、内部的に使用されているものが含まれます。
<<
演算子 (設定)オブジェクトthe_twelite
の初期設定を行うために<<
演算子を用います。
以下に挙げる設定用のクラスオブジェクトを入力とし、設定をしなければデフォルト値が適用されます。
パラメータid
に指定したアプリケーションIDを設定します。これは必須指定です。
設定の読み出しは uint32_t the_twelite.get_appid()
で行います。
パラメータch
に指定したチャネル番号(11
..26
)を設定します。
設定の読み出しはuint8_t the_twelite.get_channel()
で行います。
パラメータpw
に指定した出力設定を(0
..3
)を設定します。デフォルトは(3:出力減衰無し)です。
設定値の読み出しはuint8_t the_twelite.get_tx_power()
で行います。
パラメータbEnable
が1
であれば常に受信回路を動作させ、他からの無線パケットを受信できるようになります。デフォルトは0
で、もっぱら送信専用となります。
設定値の読み出しはuint8_t the_twelite.get_rx_when_idle()
で行います。
チャネルマネージャを有効にします。チャネルを複数指定すると複数チャネルでの送受信を行います。ch2
,ch3
に0を指定すると、その指定は無効になります。
インタラクティブモードの設定値を反映します。
反映される項目は以下です。
app_id
channel
tx_power
MAC ack 使用時の再送回数
MWXライブラリコード中には他にも設定項目がありますが、現時点ではライブラリの機能に無関係な設定であったり、設定を行うと矛盾を起こす可能性があるものです。
事前に設定(<<
演算子参照)や、ビヘイビアの登録を済ませた後に実行します。通常はsetup()
関数内の一番最後に記述します。
the_twelite
設定完了
ビヘイビアの初期化
TWENETの初期化は setup()
関数が終了した後にも実行されます。多くの処理はTWENETが終了した後に実行するようになっているため、ここでは初期化以外の処理を行わないようにしてください。
チャネル設定を変更します。失敗時にはチャネルは変更されずfalse
を戻します。
現在設定中のチャネル番号(11..26)を取得する。MAC層のAPIより取得します。
モジュールのシリアル番号を取得します。
モジュールをスリープさせる。
スリープ前に組み込みオブジェクトやビヘイビアの on_sleep()
メソッドが呼び出され、スリープ前の手続きを行います。スリープ復帰後は反対に on_wakeup()
メソッドにより復帰処理が行われます。
スリープからの復帰要因が指定したディジタルピンである場合にtrue
を返します。
スリープからの復帰要因がウェイクアップタイマーである場合にtrue
を返します。
システムをリセットします。リセット後はsetup()
からの処理となります。
ウォッチドッグタイマーを停止します。長時間のポーリング待ちを行うような場合はタイマーを停止します。
ウォッチドッグタイマーはライブラリ内部のメインループで都度再開(restart)しています。タイマーが切れリセットがかかるまで約4秒です。
ウォッチドッグタイマーを再開します。
twe_twelite
には3つのビヘイビアを登録でき、これらを格納する以下のクラスオブジェクトを定義されています。
network
: ネットワークを実装するビヘイビアです。通常は<NWK_SIMPLE>
を登録します。
board
: ボード対応のビヘイビアです。ボード上の各デバイス利用手続きが付加されます。
app
: ユーザアプリケーションを記述したビヘイビアです。割り込みやイベント記述、ステートマシンによる状態遷移によるふるまいの記述が可能です。また複数のアプリケーション記述を定義しておいて、起動時に全く振る舞いの違うアプリケーションを選択する記述が容易に行えます。
settings
: 設定(インタラクティブモード)を実行するためのビヘイビアです。<SET_STD>
を登録します。
ビヘイビア<B>を登録します。登録はsetup()
内で行います。戻り値は登録したビヘイビアに対応するオブジェクトの参照です。
登録後は登録時と同じ書式でオブジェクトの取得を行います。
誤ったビヘイビアを指定した場合は、パニック動作(無限ループ)となりプログラムの動作が停止します。
グローバル変数としてビヘイビアのオブジェクトを宣言することを想定していません。利用都度use<B>()
を用いてください。
ただし、グローバル変数にオブジェクトのポインタを定義して以下のように記述することは可能です。(MWXライブラリでは原則としてポインタ型の利用を最小限にとどめ参照型を利用する方針ですので、下記のような記述は推奨しません)
the_twelite
には上述のboard
, network
, app
の3つのクラスオブジェクトが定義されていますが他に以下が定義されています。
送信完了状態を通知する。
イベントドリブンのビヘイビアの記述ではtransmit_complete()コールバックで管理します。
指定したIDのパケットが送信完了したときにtrue
を返す。
指定したIDのパケットが送信完了し、かつ送信成功したときにtrue
を返す。
受信パケットを取得する。
イベントドリブンのビヘイビアの記述ではreceive()コールバックで取得します。
read()
メソッドで得られる受信パケットデータは、続くパケットが受信処理時に上書きされる設計となっています。available
直後に読み出してなにか短い処理をする場合は問題になることはありませんが、原則として読み出し→アプリケーションが使うため必要なデータのコピー→loop()
の終了を速やかに行います。例えばloop()
中で長いdelay()
を行うと受信パケットの取りこぼしなどが発生します。
まだ読み出していない受信パケットが存在する場合にtrue
を返す。
パケットを読み出します。
ADC (mwx::periph_analogue.hpp)
Analogueは、ADCの実行と値の取得を行います。一度に複数のチャネルを連続取得でき、またこれをタイマーなどの周期に合わせて逐次実行可能です。
標準アプリ(App_Twelite)では、半導体データシート中のピン名ADC2/ADC3が、TWELITE DIPの並びにあわせてAI3/AI2 となっています。ご注意ください。
*1 ディジタル、アナログ共用のADC2/ADC3ピンは利用手続きと利用制限があります。
ADC開始前に利用するピンをプルアップ無しとします。これを実行しないと常にプルアップ電圧をADCで観察することになります。
通常の回路構成では、スリープ時には電流リークが発生します。 ソフトウェアの記述のみで回避することは出来ません。
スリープ時の電流リーク回避には、アナログ回路部分のGNDをFETスイッチなどで切り離し、スリープ中はフローティング状態にします。またスリープ前には入力かつプルアップ状態にピンを設定します。
ADCの初期化を行います。setup()では、半導体内部のレギュレータの始動、周期実行するためのタイマーデバイスの指定、指定チャネルすべてのADCが終了したときに呼び出されるコールバック関数の指定します。
1番目のパラメータにはADCを行いたいポートを指定します。ポートの指定はピンの定義で述べたポート番号に対応するビットをセットしたビットマップになります。例えば PIN_ANALOGUE::A2
とPIN_ANALOGUE::VCC
の2つのピンの値を得たい場合は (1 <<PIN_ANALOGUE::A1 | 1<<PIN_ANALOGUE::VCC )
を指定します。pack_bits
を用いpack_bits(PIN_ANALOGUE::A1,PIN_ANALOGUE::VCC)
のように記述することもできます。
begin()
の呼び出し後、速やかに最初のADC処理が開始され、その終了割り込から次のピンの処理を開始します。すべての処理が終われば(指定されている場合)コールバック関数が呼び出されます。次のタイマー割り込みが発生まで待ってから新たなADC処理を開始します。
2番目のパラメータは、ACを開始するまでのタイマー割り込みの回数を指定します。例えばTickTimer
は1msごとに呼び出されますが、パラメータに16
を指定すれば 16msごとの処理になります。
デフォルトのADCピン(PIN_ANALOGUE::A1
,PIN_ANALOGUE::A2
)を指定してADC処理を開始します。end()
では中断したADC処理を再開します。
ADC処理を終了し、半導体内部のレギュレータを停止します。
ADCの値が取得後にtrue
になります。本関数により確認した後は次のADC完了まではfalse
です。
ADC値を読み出します。パラメータには読み出したいADCピンを指定します。read()
はmVに変換した読み値、read_raw()
はADCの値(0..1023)を戻します。
Vccはread()
で読み出すことを推奨します。read_raw()
の値からmVに変換するには、特別な変換式を適用する必要があるためです。
ADC完了(available)後、次のADC処理が実行するタイミング付近まで遅れて値を読み出すと、次のADC値が戻される場合があります。ADCの処理は割り込みハンドラで実施されているためloop()
の処理中であっても値が更新されるためです。
ADCの割り込みハンドラはsetup()
の呼び出し時にperiph_analogue::ADC_handler()
に設定されます。
半導体のペリフェラルライブラリで別途ハンドラを指定すると正常に動作しなくなります。
ADCがbegin()
により周期実行状態であれば、スリープ復帰後もADC処理を再開します。
パルスカウンタ (mwx::periph_pulse_counter)
パルスカウンタは、マイコンのCPUが稼働していない時もパルスを読み取り計数する回路です。パルスカウンターは2系統あります。PC0はPulseCounter0
, PC1はPulseCounter1
に割り当てられます。
またPulseCounter
はPulseCounter1
の別名です。
オブジェクトを初期化し、計数を開始します。1番目のパラメータrefct
は割り込みやavailable判定の基準となるカウント数です。この数を超えたときにアプリケーションに報告されます。またrefct
には0を指定することもできます。この場合は、スリープ起床要因にはなりません。
2番目のパラメータedge
は割り込みが立ち会がり(PIN_INT_MODE::RISING
)か立下り(PIN_INT_MODE::FALLING
)を指定します。
3番目のdebounce
は、0,1,2,3の値をとります。1,2,3の設定はノイズの影響を小さくするため値の変化の検出に連続した同じ値を要する設定です。
検出を中止します。
指定カウント数(begin()
のrefct
)が0の場合は、カウントが1以上でtrue
を返します。
指定カウント数(begin()
のrefct
)が1以上の場合は、検出回数が指定カウント数を超えた場合にtrue
となります。
カウント値を読み出します。読み出し後にカウント値を0にリセットします。
メンバ関数を利用した方法は、抽象度が比較的低く、C言語ライブラリで提供されるような一般的なAPI体系に倣っています。二線シリアルバスの操作手続きがより直感的です。
ただしバスの利用の開始と終了を明示的に意識して記述する必要があります。
指定バイト数分を一括で読み出します。読みだした結果はキューに保存されるため、直後にキューが空になるまで .read()
メソッドを呼び出すようにしてください。
書き出し処理は、beginTransmission()
を実行後、write()
メソッドにより行います。一連の書き出しが終了したら endTranmission()
を呼びます。
書き出しの転送を初期化する。書き出し処理終了後、速やかに endTransmission()
を呼び出す。
1バイトの書き出しを行う。
バイト列の書き出しを行います。
書き出しの終了処理を行います。
SPIバス (MASTER) の読み書きを行います。
SPIバスの利用手続きはbegin()
メソッドによります。
ハードウェアの初期化を行います。
スリープ復帰後にも本処理が必須です。
SPIのハードウェアの利用を終了します。
読み書きの手続きは、以下の2種類あります。いずれかを選択して利用します。
メンバ関数版 (以下のメンバ関数を用いた入出力)
beginTransaction(), endTransaction(), transfer(), transfer16(), transfer32()
ヘルパークラス版(stream機能が使用可能)
transceiver
TWELITE の UART0 ポート (mwx::serial_jen)
mwx::stream
を実装し TWELITE の UART0 で入出力する。
Serial
オブジェクトはシステム起動時に UART0, 115200 bps で初期化され、ライブラリ内で初期化処理が行われます。ユーザコード上は、setup()
から利用できます。
Serial1
オブジェクトは、ライブラリ内で用意されていますが、初期化処理は行っていません。UART1を有効化するためには、必要な初期化手続き Serial1.setup(), Serial1.begin()
を行ってください。
起動直後の setup(), wakeup()
やスリープ直前の flush
処理で、出力が不安定になる場合があります。
オブジェクトの初期化を行う。
TX/RX用のFIFOバッファのメモリ確保
TWE_tsFILE 構造体のメモリ確保
Serial
(UART0) は ライブラリ内で setup()
の呼び出しが自動で行われます。ユーザによる呼び出しを行う必要はありません。
また、Serial
(UART0) のバッファサイズは、コンパイル時に決定されます。マクロ MWX_SER_TX_BUFF
(未指定時は 768), MWX_SER_RX_BUFF
(未指定時 256) により変更できます。
ハードウェアの初期化を行う。
Serial
(UART0) は ライブラリ内で begin()
の呼び出しが自動で行われます。ユーザによる呼び出しを行う必要はありません。
指定したボーレートの下2桁の数値は0に丸めて処理します。またハードウェアの制限により指定したボーレートより誤差が生じます。
ボーレートの計算には除算が発生し計算時間がかかる場合があります。9600,38400,115200を指定する場合は、除算をせずに計算を行います。処理の詳細は、constexpr uint16_t _serial_get_hect_baud(uint32_t baud)
を参照してください。
(未実装)ハードウェアの使用を停止する。
Cライブラリで利用する TWE_tsFILE*
形式での構造体を得る。
Serial (UART) では、_sSerial
構造体が定義されています。
ヘルパークラス版はより抽象度が高い実装です。読み書きに対応するオブジェクト reader, writer
を生成することがバスの利用開始となり、オブジェクトを破棄するとバス利用の終了手続きを行います。
if文の判定式内でオブジェクトの生成を行うことで、オブジェクトの有効期間はif節内のスコープに限定され、if節を抜けた時点でオブジェクトは破棄され、その時点でバスの利用終了の手続きを行います。
また読み書きオブジェクトはmwx::stream
インタフェースを実装しているため<<
演算子などを利用することができます。
バスの利用開始と終了をオブジェクトの有効期間と一致させることで、ソースコードの見通しを良くし、また終了手続きの記述漏れなどを防ぐ
mwx::stream
インタフェースによる読み書き手続きの統一
読み込み処理とその終了手続きをスコープ内 if() { ... }
で行うためのヘルパークラスを用いた読み込み方法です。
上記では get_readr()
メソッドにより生成された rdr
オブジェクトを用いて1バイトずつ読み出しします。 メソッドのパラメータには読み込みたい二線シリアル ID を指定します。
if(...)
内で rdr
オブジェクトを生成。(型は、型推論によるユニバーサル参照 auto&&
で解決しています。)
生成した rdr
オブジェクトには operator bool ()
が定義されており、判定式の評価として利用される。指定された ID により通信が可能であれば true
となる。
rdr
オブジェクトには int operator () (void)
演算子が定義されていて、これを呼び出すことで2線シリアルバスから1バイトのデータを読み出す。読み込みに失敗したときは -1
が戻り、成功した場合は読み込んだバイト値が戻る。
if() { ... }
スコープの末尾で rdr
のデストラクタが呼び出され、二線シリアルバスの STOP
を行う。
I2C 読み出しに用いるワーカーオブジェクトを取得します。
書き出し処理とその終了手続きをスコープ内 if() { ... }
で行うためのヘルパークラスを用いた読み込み方法です。
上記では get_writer()
メソッドにより生成された wrt
オブジェクトを用いて1バイトずつ書き出す。 メソッドのパラメータには読み出したい二線シリアル ID を指定します。
if(...)
内で wrt
オブジェクトを生成する。(型名は長くなるため auto で解決)
生成した wrt
オブジェクトには operator bool ()
が定義されており、判定式の評価として利用される。指定された ID により通信が可能であれば true
となる。
wrt
オブジェクトには int operator () (void)
演算子が定義されていて、これを呼び出すことで2線シリアルバスに1バイトのデータを書き出しす。失敗したときは -1
が戻り、成功した場合は書き込んだバイト値が戻る。
if() { ... }
スコープの末尾で wrt
のデストラクタが呼び出され、二線シリアルバスの STOP
を行う。
I2C書き出しに用いるワーカーオブジェクトを取得します。
int
型,uint8_t
型は8bitの転送を行います。
1バイト書き出す。
それぞれのデータ型のサイズ分だけ読み出します。
1バイト読み出します。エラーがある場合は-1を戻し、正常時は読み出したバイト値を戻します。
b_stop
をtrue
にすると、その読み出しにおいてSTOPビットを発行します。
以下の例は、環境センサーパルの温湿度センサーSHTC3の計測例です。
定数
種別
標準アプリでのピン名
uint8_t PIN_ANALOGUE::A1 = 0
ADC1ピン
AI1
uint8_t PIN_ANALOGUE::A2 = 1
ADC2ピン
AI3
uint8_t PIN_ANALOGUE::A3 = 2
uint8_t PIN_ANALOGUE::D0 = 2
ADC3ピン (DIO0) *1
AI2
uint8_t PIN_ANALOGUE::A4 = 3
uint8_t PIN_ANALOGUE::D1 = 3
ADC4ピン (DIO1) *1
AI4
uint8_t PIN_ANALOGUE::VCC = 4
Vcc 電源電圧
パラメータ
解説
bWaitInit
true
を指定すると、半導体内部のレギュレータの初期化を待つ。
kick_ev
周期実行に指定するタイマーデバイスを指定する。指定可能なデバイスは、以下の5種類で、初回以外は割り込みハンドラ内でADが開始される。
E_AHI_DEVICE_TICK_TIMER (TickTimer)
E_AHI_DEVICE_TIMER0 .. 4 (Timer0 .. 4)
fp_on_finish
指定されたポートすべてのADCが終了後に、割り込みハンドラ内から呼び出されるコールバック関数。ADC計測値をFIFOキューなどに別途格納したい場合に利用する。
設定
連続サンプル数
最大検出周波数
0
-
100Khz
1
2
3.7Khz
2
4
2.2Khz
3
8
1.2Khz
パラメータ
解説
u8mode
バス周波数を指定する。デフォルトは100Khz(WIRE_CONF::WIRE_100KHZ
)
周波数はWIRE_CONF::WIRE_??KHZ
で指定し??
には50
,66
,80
,100
,133
,160
,200
,266
,320
,400
を指定できる。
b_portalt
ハードウェアのピン割り当てを変更する。
パラメータ
解説
u8address
読み出し対象のI2Cアドレス
length
読み出しバイト数
b_send_stop=true
true
の時、読み込み終了時にSTOP
ビットを設定する。
戻り値型 size_type
読み出したバイト数。 0
は読み出しの失敗。
パラメータ
解説
u8address
書き出し対象のI2Cアドレス
パラメータ
解説
value
書き込むバイト
戻り値 size_type
書き込んだバイト数。0
はエラー。
パラメータ
解説
*value
書き込むバイト列
size_type
バイト数
戻り値 size_type
書き込んだバイト数。0はエラー。
パラメータ
解説
sendStop = true
STOPビットを発行します。
戻り値 uint8_t
0: 成功 4: 失敗
定数
意味
const uint8_t
SPI_CONF::MSBFIRST
MSB を先頭ビットにする
const uint8_t
SPI_CONF::LSBFIRST
LSB を先頭ビットにする
const uint8_t
SPI_CONF::SPI_MODE0
SPI MODE 0 に設定する
const uint8_t
SPI_CONF::SPI_MODE1
SPI MODE 1 に設定する
const uint8_t
SPI_CONF::SPI_MODE2
SPI MODE 2 に設定する
const uint8_t
SPI_CONF::SPI_MODE3
SPI MODE 3 に設定する
パラメータ
解説
slave_select
使用するSPIスレーブのセレクトピンを指定する。
0 : DIO19
1 : DIO0 (DIO 19 は予約されます)
2 : DIO1 (DIO 0,19 は予約されます)
settings
SPIのバス設定を指定します。
clock
[hz]でSPIバスの周波数を指定します。指定した周波数に近いディバイザが選択されます。16Mhzまたは16Mhzを偶数で割った値になります。
bitOrder
はSPI_CONF::MSBFIRST
かSPI_CONF::LSBFIRST
を指定します。
dataMode
はSPI_CONF::SPIMODE0..3
を指定します。
パラメータ
解説
u32Periodms
スリープ時間[ms]
bPeriodic
前回の起床時間をもとに次の起床時間を再計算する。 ※次の起床タイミングが迫っているなどの理由で、現在のタイミングからになる場合もあります。
bRamoff
true
に設定すると、RAMを保持しないスリープになる(起床後はwakeup()
ではなくsetup()
から再初期化する必要がある)
u8Device
スリープに用いるウェイクアップタイマーの指定。
TWENET::SLEEP_WAKETIMER_PRIMARY
または TWENET::SLEEP_WAKETIMER_SECONDARY
を指定する。
パラメータ
解説
buf_tx
TX用のFIFOバッファサイズ
buf_rx
RX用のFIFOバッファサイズ
パラメータ
解説
speed
UART のボーレートを指定する。
config
serial_jen::E_CONF::PORT_ALT
ビットを指定したときは、UART1をDIO14,15で初期化します。指定しない場合はDIO11(TxD),9(RxD)で初期化します。
パラメータ | 解説 |
| 読み込み用のI2Cアドレス |
| 読み出しバイト数(この値を指定すると最後の転送で STOP ビットを発行する)。0を指定した場合は STOP ビットなしとなる(デバイスによっては動作するものもあります) |
パラメータ | 解説 |
| 書き出し用のI2Cアドレス |