mwx::stream

入出力ストリーム

入出力ストリームを処理する上位クラスです。

  • CRTP (Curiously Recurring Template Pattern) 手法を用いたポリモーフィズムにより、いくつかのクラス(Serial, Wire, SPI, smplbuf) にインタフェースを提供します。

    • CRTP では下位クラスは template class Derived : public stream<Derived>;のように定義し、上位クラスからも下位クラスのメソッドを参照します。

  • 本クラスでは print メソッド、<< 演算子などの共通処理の定義を行い、下位クラスで実装した write() メソッドなどを呼び出すことで、仮想関数を用いるのと近い実装を行っています。

インタフェース(下位クラスで実装)

下位クラスでは、以下に列挙する関数を実装します。

available()

int available()

// example
while(Serial.available()) {
  int c = Serial.read();
  // ... any
}

入力が存在する場合は 1、存在しない場合は 0 を返します。

パラメータ

解説

戻り値 int

0: データなし 1:データあり

本実装の戻り値はバッファ長ではありません。

flush()

void flush()

// example
Serial.println("long long word .... ");
Serial.flush();

出力をフラッシュ(出力完了まで待つ)します。

read()

int read()

// example
int c;
while (-1 != (c = read())) {
    // any
}

ストリームより1バイトデータを入力します。データが存在しない場合は -1 を戻します。

write()

size_t write(int c)

// example
Serial.write(0x30);

ストリームに1バイト出力します。

パラメータ

解説

n

出力したい文字。

戻り値 size_t

出力が成功すれば 1、失敗すれば 0。

vOutput()

static void vOutput(char out, void* vp)

1バイト出力を行うスタティック関数です。クラスメソッドではないため、メンバー変数等の情報は利用できません。替わりにパラメータとして渡される vp にクラスインスタンスへのポインタを渡します。

このスタティック関数は内部的に利用されfctprintf()の1バイト出力関数として関数ポインタが渡ります。これを用いてprintメソッドなどを実装しています。

パラメータ

解説

out

出力したい文字

vp

クラスインスタンスへのポインタ 通常は、元のクラスにキャストして write() メソッドを呼び出す

インタフェース

putchar()

void mwx::stream::putchar(char c)

// example
Serial.putchar('A');
// result -> A

1バイト出力します。

size_t print(T val, int base = DEC) // T: 整数型
size_t print(double val, int place = 2)
size_t print(const char*str)
size_t print(std::initializer_list<int>)

// example
Serial.print("the value is ");
Serial.print(123, DEC);
Serial.println(".");
// result -> the value is 123.

Serial.print(123.456, 1);
// result -> 123.5

Serial.print({ 0x12, 0x34, 0xab, 0xcd });
// will output 4byte of 0x12 0x34 0xab 0xcd in binary.

各種整形出力を行います。

パラメータ

解説

val

整形出力したい数値型

base

出力形式

BIN 二進数 / OCT 8進数 / DEC 10進数 / HEX 16進数

place

小数点以下の桁数

戻り値 size_t

書き出したバイト数

printfmt()

size_t printfmt(const char* format, ...);

// example 
Serial.printfmt("the value is %d.", 123);
// result -> the value is 123.

printf 形式での出力を行います。

TWESDK/TWENET/current/src/printf/README.md 参照

operator <<

// examples
Serial << "this value is" // const char*
       << int(123)
       << '.';
       << mwx::crlf;
// result -> this value is 123.

Serial << fromat("this value is %d.", 123) << twe::crlf;
// result -> this value is 123.

Serial << mwx::flush; // flush here

Serial << bigendian(0x1234abcd);
// will output 4byte of 0x12 0x34 0xab 0xcd in binary.

Serial << int(0x30) // output 0x30=48, "48"
       << '/'
       << uint8_t(0x31); // output '1', not "48"
// result -> 48/1

smplbuf<char,16> buf = { 0x12, 0x34, 0xab, 0xcd };
Serail << but.to_stream();
// will output 4byte of 0x12 0x34 0xab 0xcd in binary.

Seiral << make_pair(buf.begin(), buf.end());
// will output 4byte of 0x12 0x34 0xab 0xcd in binary.

Serial << bytelist({ 0x12, 0x34, 0xab, 0xcd });
// will output 4byte of 0x12 0x34 0xab 0xcd in binary.

引数型

解説

char

1バイト出力 (数値としてフォーマットはしない)

int

整数出力 (printf の "%d")

double

数値出力 (printf の "%.2f")

uint8_t

1バイト出力する(char型と同様)

uint16_t

2バイト出力する(ビッグエンディアン順)

uint32_t

4バイト出力する(ビッグエンディアン順)

const char*

uint8_t*

const char[S]

終端文字までを出力します。出力には終端文字は含まれません。

(Sは固定配列のサイズ指定)

uint8_t[S]

配列サイズSバイト分をそのまま出力します。

(Sは固定配列のサイズ指定)

format()

printf 形式での出力

mwx::crlf

改行 CRLF の出力

mwx::flush

出力のフラッシュ

bigendian()

数値型をビッグエンディアン順で出力する。(右辺値)

std::pair<T*, T*>

バイト型の begin(), end() ポインタを格納したペア。make_pair により生成できる。Tuint8_t 型を想定する。(右辺値)

bytelist()

std::initializer_list を用いるバイト列の出力

smplbuf<uint8_t,AL>&

uint8_t型の配列クラスの内容を出力する。

smplbuf<uint8_t, AL>::to_stream()

バイト列として出力する際は、uint8_t, uint16_t, uint32_t 型にキャストします。また文字列として数値出力する場合は明示的にint形にキャストするようにしてください。

1バイト型は型名によって取り扱いが違います。通常はサイズを意識したuint8_t[S]型を用いるようにしてください。

set_timeout(), get_error_status(), clear_error_status()

uint8_t get_error_status()
void clear_error_status()
void set_timeout(uint8_t centisec)

// example
Serial.set_timeout(100); // 1000msのタイムアウトを設定
uint8_t c;
Serial >> c;

>>演算子を用いた入力タイムアウトとエラーを管理します。

set_timeout() によりタイムアウト時間を指定し、>>演算子により入力処理を行います。所定時間内までに入力が得られない場合は get_error_status() によりエラー値を読み出せます。clear_error_status()によりエラー状況をクリアします。

引数型

解説

centisec

1/10秒単位でタイムアウト時間を設定します。

0xffを指定した場合は、タイムアウトを無効とします。

エラー値

意味

0

エラーなし

1

エラー状況

operator >>

inline D& operator >> (uint8_t& v)
inline D& operator >> (char_t& v)
template <int S> inline D& operator >> (uint8_t(&v)[S])
inline D& operator >> (uint16_t& v)
inline D& operator >> (uint32_t& v)
inline D& operator >> (mwx::null_stream&& p)

//// 例
uint8_t c;

the_twelite.stop_watchdog(); // ウォッチドッグの停止
Serial.set_timeout(0xFF); // タイムアウト無し

// 1バイト読み出す
Serial >> c;
Serial << crlf << "char #1: [" << c << ']';

// 読み捨てる
Serial >> null_stream(3); // 3バイト分読み捨てる
Serial << crlf << "char #2-4: skipped";

// 4バイト分読み出す (uint8_t 型固定長配列限定)
uint8_t buff[4];
Serial >> buff;
Serial << crlf << "char #5-8: [" << buff << "]";

入力処理を行います。

  • setup() 内では実行できません。

  • ポーリング待ちを行うため、タイムアウトの時間設定(タイムアウト無しなど)によっては、ウォッチドッグタイマーが発動してリセットする場合があります。

通常はloop()中で以下のような読み出しを行います。

void loop() {
  uint8_t c;
  while(Serial.available()) {
    Serial >> c;
    // または c = Serial.read();
    
    switch(c) { ... }  // cの値によって処理を分岐する
  }
}

以下に読み出し格納できる型を列挙します。

引数型

解説

uint8_t, char_t

1バイト入力

uint16_t

2バイト入力(ビッグエンディアン順)

uint32_t

4バイト入力(ビッグエンディアン順)

uint8_t[S]

Sバイト分入力

(Sは固定配列のサイズ指定)

null_stream(int n)

nバイト読み捨てる

最終更新