smplque

FIFOキューを構造のコンテナクラス

FIFOキューを構造のコンテナクラスです。

template <typename T, int N, class Intr> smplbuf_local
template <typename T, class Intr> smplbuf_attach
template <typename T, class Intr> smplbuf_heap

smplqueは要素の型Tメモリの確保方法allocで指定したメモリ領域に対してFIFOキューの操作を提供するコンテナクラスです。allocの指定は煩雑であるためusingを用いた別名定義が行っています。

要素型は原則として数値や数値などを格納する構造体を想定しています。デストラクタによる破棄手続きが必要なオブジェクトを格納することを想定していません(キューから要素を抹消する際にオブジェクトを抹消する処理をしていないため)。

宣言時に割り込み禁止設定を行うクラスIntrを登録することが出来ます。このクラスは指定しない場合は、割り込み禁止制御を行わない通常の動作となります。

オブジェクトの宣言例です。宣言の直後に初期化用のメソッド呼び出しを行います。いずれも初期化直後の最大サイズは128バイトで、初期サイズは0で何も格納されていません。最大サイズは変更できません。

void some_func() {

// 内部に固定配列
smplque_local<uint8_t, 128> q1;

// すでにある配列を利用する
uint8_t buf[128];
smplque_attach<uint8_t> q2;

// ヒープに確保する
smplque_heap<uint8_t> q3;

void setup() {
  // グローバル定義のオブジェクトは setup() で初期化
  q1.init_local();
  q2.attach(buf, 128);
  q3.init_heap(128);
}

void some_func() {
  // ローカル定義の smplque_local は init_local() は省略できる
  smplque_local<uint8_t, 128> q_local;
  ..
}

FIFOキューですのでpush(),pop(),front()といったメソッドを用いて操作します。

void begin() { // begin() は起動時1回のみ動作する
	smplque_local<int, 32> q1;
	
	q1.push(1);
	q1.push(4);
	q1.push(9);
	q1.push(16);
	q1.push(25);
	
	while(!q1.empty()) {
		Serial << int(q1.front()) << ',';
		q1.pop();
	}
	// output -> 1,4,9,16,25,
}

イテレータによるアクセスも可能です。

void begin() { // begin() は起動時1回のみ動作する
	smplque_local<int, 32> q1;
	q1.init_local();
	
	q1.push(1);
	q1.push(4);
	q1.push(9);
	q1.push(16);
	q1.push(25);
	
	// イテレータを利用
	for(int x : q1) {
		Serial << int(x) << ',';
	}
	
	// STLアルゴリズムの適用
	auto&& minmax = std::minmax_element(q1.begin(), q1.end());
	Serial <<  "min=" << int(*minmax.first)
		     << ",max=" << int(*minmax.second);
	// output -> 1,4,9,16,25,min=1,max=25[]
}

宣言・初期化

smplbuf_local<T,N>
smplbuf_local<T,N>::init_local()

smplbuf_attach<T>
smplbuf_attach<T>::attach(T* buf, uint16_t N)

smplbuf_heap<T>
smplbuf_heap<T>::init_heap(uint16_t N); 

//例
// 内部に固定配列
smplque_local<uint8_t, 128> q1;
q1.init_local();

// すでにある配列を利用する
uint8_t buf[128];
smplque_attach<uint8_t> q2;
q2.attach(buf, 128);

// ヒープに確保する
smplque_heap<uint8_t> q3;
q3.init_heap(128); 

TでサイズNのコンテナを宣言します。宣言後に初期化のメソッドを呼び出します。

smplque_localは、内部に固定配列により領域を確保します。コンストラクタによる初期化も可能です。

smplque_attachでは、使用するバッファの先頭ポインタT* bufと配列の初期サイズsizeと最大サイズNを指定します。コンストラクタによる初期化も可能です。

smplque_heapは、HEAP領域(解放は不可能だが随時確保可能なメモリ領域)にメモリを確保します。一度確保したら開放できない領域ですので通常はグローバル領域に定義します。領域確保はinit_heap()で行います。コンストラクタによるメモリ確保はできません。必ずinit_heap()を呼び出して利用してください。

グローバルオブジェクトを生成する場合は、コンストラクタによる初期化が行なえません。実行初期(setup()を推奨)に初期化関数init_local(),attach(),init_heap()を呼び出すようにしてください。

メソッド

push(), pop(), front(), back()

inline void push(T&& c)
inline void push(T& c)
inline void pop()
inline T& front()
inline T& back()

inline T& pop_front()

push()はエントリをキューに追加します。

pop()はエントリをキューから抹消します。

front()は先頭のエントリ(一番最初に追加されたもの)を参照します。

back()は末尾のエントリ(一番最後に追加されたもの)を参照します。

pop_front()は先頭のエントリを戻り値として参照し、同時にそのエントリをキューから抹消します。

empty(), size(), is_full()

inline bool empty()
inline bool is_full()
inline uint16_t size()
inline uint16_t capacity()

empty()は配列に要素が格納されていない場合にtrueを戻します。is_full()は反対に配列サイズ一杯まで要素が格納されているときにtrueを戻します。

size()はキューに格納されている要素数を返します。

capacity()はキューの最大格納数を返します。

clear()

inline void clear()

キューのすべての要素を抹消します。

operator []

inline T& operator[] (int i)

要素にアクセスします。0が最初に追加した要素です。

イテレータ

inline smplque::iterator begin()
inline smplque::iterator end()

begin()end()によるイテレータを取得できます。イテレータの先頭はキューの最初に登録した要素です。イテレータを用いることで範囲for文やアルゴリズムが利用できます。

応用としてaxis_xyzt構造体の特定のメンバーに注目したイテレータによるアクセスがあります。

最終更新